1.中国(中華人民共和国)の女性研究者の数。 2.「ジェンダー」は中国語でどう表現されているか。

中国に関する統計に限らず,アジア各国に関する統計を入手したいという要望は非常に多いです。学校の課題や卒論,会社でプレゼンを行うため,と様々です。
この事例では,女性研究者の数を知りたいとのこと。回答を引用します。

1.『教育指標の国際比較』に高等教育機関(大学・短大等)の女子教員数あり。
2.国連ダグ・ハマーショルド図書館作成のUNBISシソーラスで検索。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000022681

最初から中国の統計書を参照するのではなく,あくまでも要求の中核である「女性研究者の数」をきちんと把握し,「教育指標」を中心に検索戦略を立てています。これはすばらしいです。
あまり経験がなかったりすると,いきなり,中国の統計を探そう,という戦略を立てがちですが*1,都合良く中国の統計が手近にあるわけではありません。中国の公的統計は,中華人民共和国国家統計局が主管です。インターネットでも入手できる情報もたくさんあります。こういった外国の公的統計が入手できるとネットってありがたいなぁと思います。
続いて,2番目。中国語でジェンダーはどういうのか。何で調べましょう? 普通は英中辞典など中国語の辞書を調べてみようかと思いますよね?
回答で紹介されているのは国連のダグ・ハマーショルド図書館*2作成のシソーラスです。
シソーラスはご存じですか? 日本語では類語と訳されることが多いです。語の持つ概念の包括関係や上下関係などがわかります。シソーラスは検索語を決定するときに非常に有用です。検索したいときに,やみくもに思いついたキーワードを入れるより,一度シソーラスでそのキーワードを引き,その後得られた上位語や下位語を確認するとよりノイズが少なくなりますし,検索漏れも少なくなります。
辞書に載っていない語がどのように各国語で使われているかを調べる際に,一度こういったシソーラスを引いてみるのも,戦略としてはありでしょう。nachumeにはこの発想はありませんでした。でも,確かに,国連で議題になることもあるジェンダーについては,国連の資料にもたくさんあるわけで,そうした資料を扱う国連図書館のシソーラスにあたるのも実は近道かもしれません。
ちなみに,このシソーラスは6カ国語対応です。
今回は検索戦略のたてかたの参考なるものです。すばらしいですね!

*1:この戦略も決して間違っているわけではありませんよ。

*2:第二代国連事務総長を勤め,ノーベル平和賞をもらっている人にちなんだ図書館。国連図書館であると同時に,各国にある国連寄託図書館の統括を行っています。