レファ協フォーラムに参加します。

年明け初の記事ですね…。やめてませんよ!ほめまくりは,これからも続きます!
ということで,明日25日はレファレンス協同データベースのフォーラムです。関西館に行きます。ご一緒になる方はよろしくお願いします!

レファ協APIを用いたマッシュアップについてのメモ

公開して半年以上になるのですが,2010年4月に実装されたレファ協APIを用いて作ってみたものがありますので,若干のメモを留めておこうと思います。

  • 作ったもの

http://pipes.yahoo.com/pipes/レファ協APIを組み合わせて,レファ協に登録された未解決事例のみを抽出したフィードを作成しました。
下記のURLからアクセスできます。
Unsolved Reference Questions and Answers on Collaborative Reference Database
http://pipes.yahoo.com/qkmode/unsolved_qa_on_crd

  • どうやって使うの?

RSSリーダにフィードを登録し未解決事例だけを読んでいく,ことが出来ます。レファ協を利用していると,未解決事例のみを見て行きたい場合があります。このような場合はレファ協が用意したWEBインターフェースから都度詳細検索を行う必要がありましたが,APIを用いて,検索結果をRSSフィードにしておけば,未解決事例だけをRSSリーダで読み進めることができ,とても便利です。私は,google readerRSSリーダとして使っていますので,それに登録しています。また,FireFoxライブブックマークにも登録しています。
RSSリーダに登録するには,上記URLから,「Get as RSS」のリンクを登録してください。Google readerブログパーツとして登録するのも簡単です。

  • どうやって使うの? その2

れふぁったー(@refatter) というツイッターのアカウントがあります。
このアカウントはid:nachumeid:yoshim32 が中の人だったりして,適当にレファ協関係のあれこれをつぶやいて遊んでいるのです。が,それ以外に,Twitterfeed と連携して,このフィードを自動的につぶやいてくれていますので,このアカウントをフォローしてみてください。TLには未解決事例が流れてきます。

  • どうやって作ったかの簡単な覚え書き

Pipes は基本的にはRSS をごにょごにょすることが出来る開発ツールです。複数のRSSフィードを一つのフィードにまとめたり,WEBサイトの更新情報を解析してRSSフィードを持たないサイトのフィードを作成したりすることができます。
レファ協APIと組み合わせ方ですが,概ね下記の流れです。
仕様(http://crd.ndl.go.jp/jp/library/api.html)を見てもらえれば分かるのですが,レファ協APIは,RESTで検索結果を返します。ということは,

  1. 必要な検索を満たすURLを作り,検索結果を得る。
  2. 得られた検索結果のXMLファイルをRSS形式に変換する

という大きく二つの段階を考えます。
ソースを見れば何をしているかは分かると思いますが,まず,「必要な検索を満たすURLを作る」です。
Pipesのモジュールで「URL Builder」を使います。検索用の項目はパラメータを追加していきます。「SOLUTION=1」(未解決である)と,「REG-DATE_from=19000101」(登録日付が「1900年1月1日以降」のもの=すべての登録データを検索対象としたいという意図。この条件は無くてもいいです。)の二つを組み合わせます。

すると「http://crd.ndl.go.jp/refapi/servlet/refapi.RSearchAPI?SOLUTION=1®-DATE_from=19000101」のようなURLが得られます。
第1段階はこれで終わり。あとはRSSに変換します。
検索結果には何件ヒットしたかなどの情報もありますが,RSSには必要ないので,必要な部分を抜き出していきます。この処理は「Fetch」モジュールを用います。検索結果のうちほしいのは「」で囲まれた個々の未解決事例ですので,モジュールで抜き出す部分を「result」と指定します。


これで,必要な部分を抜き出しました。
あとはRSSに変換します。RSSにはフォーマットがいくつかあるのですが,Pipesは2.0で出力してくれる(はず)なので,それにそって作っていきます。
RSSを作るのは「Create RSS」というモジュールです。得られた検索結果をマッピングしていくだけです。

「title=item.QUESTION」は,RSSのタイトルにはレファ協の質問文をあてる,という意味です。好きなような項目をマッピングすれば,好きなようにフィードを作り替えることが出来ます。
「title」,「Description」,「Link」,「PubDate」,「Author」,「GUID」の項目をそれぞれ「質問文」「回答」「事例のURL」「登録日付」「事例提供館」「システムID」というようにマッピングしました。
また,日付の処理ですが,レファ協の検索結果で得られる日付は「YYYYMMDDHHMM」の形式です。RSSの日付はDC準拠の「YYYY-MM-DDTHH:MM GMT」のような形式です(もっと詳細な表現方法もあります)。そこで,前者を後者に変換する処理を一つ加えています。

これをみて分かると思いますが,「Rename」モジュールで「item.REG-DATE」を「dc:date」へ変換し,明示的に日付として取り扱えるようにします。次に「Regex」モジュールで,日付を変換します。これは正規表現を用いて,置き換えを行うものですが,単純に数値を4桁・2桁・2桁・2桁…とグルーピングして,並べ替えて,必要な文字列を付与する,という処理ですので,難しいことはしていません。ここまでで,並べ替えが出来たので,あとはもう一つ「DateFormatter」というモジュールで,整形します。全部のレコードに対して処理を行いたいので,「Loop」モジュールと組み合わせます。この辺は若干プログラミングっぽいかもしれません。

日付の処理が正しいのかよく分かりません。もっとスマートなやり方もありそうですが,これで,未解決事例をPipesを使ってフィードにすることが出来ました。

ということで,レファ協APIを使ったマッシュアップの一例でした。他にも,次のようなものを作りました。

  • Participatory libraries Reference Questions and Answers on Collaborative Reference Database v.2

レファ協の提供館別フィードです。提供館コードを入力すると各図書館ごとのフィードを作成できます。
私のPipes公開ページでいろいろ遊んでいますので参考になれば幸いです。

カフリンクス= cuff linksの作り方、デザインなど

暑いですね…。クールビズのおかげ(?)で,ノーネクタイに半袖シャツというスタイルが一般的に見られるようになりました。今回紹介するのはカフリンクスに関するレファレンス事例です。カフリンクスは,一般的にカフスボタンという言葉で知られているかもしれませんが,日本独自の言い方のようです。
まずは,回答と回答プロセスを引用します。

<回答>
下記は日本語で記述が詳しくある資料。
(1)『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典』p260-269 【070014066 /593.37/S】
   ジュエリーの項目にカフリンクスについての記述とデザインの図と写真が豊富だが、白黒である。
(2)『ボタン事典』p196-197 【100088281 /383.3/B】
   詳しい記述はあるが、デザインが分かるものではない。
(3)『メンズファッション大全』p457-458【100575422 /593.37/Y】
   デザインや種類がたくさんあることがわかる。カフリンクスは、宝石をあしらったものや、金属製のカフリンクスなどさまざまな素材で作られている。構造も根元がバネ仕掛けになって、棒の部分を折り曲げて留めるバネ式タイプや、スナップボタンのようにパチンと留め合わせるタイプのスナップ式、鎖で連結して留めるチェーン式があることがわかる。
(4)『Men's EX = メンズエクストラ』15巻5号通巻169号(2008年5月)【800813274】
   カフリンクスのブランドと歴史が簡単に紹介され、最新のデザインのカフリンクスが見られる。
(5)『Men's club』576号(2009年1月)【800878706】
   カフリンクスのデザインも見れ、カフリンクスのコーディネート術も掲載されている。

下記の資料は洋書であるが、カラー写真が豊富でデザインの参考になると思われる。
(6)『Cuff links』by Susan Jonas and Marilyn Nissenson 【100662564  /383.3/J】
(7)『200 years of American manufactured jewelry & accessories』 Suzanne Marshall 【100350173 /383.3/M】
(8)『Cuff links』Bertrand Pizzin, Jean- Noël Liaut ; foreword by Karl Lagerfeld 【100434406 /383.3/P】

作り方は、下記の資料に掲載。
(9)『手づくりのジュエリー』p132-134 【000290241 /755.3/W】
   既成のとめ金を使用しての作り方と手作りのとめ金のデザインも掲載されている。
(10)『手づくりのアクセサリー』p159 【000175375 /755/T】
   既成の金具を使用して革のカフスボタンの作り方が掲載されている。
(11)『宝石デザイン教室 III』p216-217 【000079628 /755.3/H/3】
   デザインと金具やとめ金の説明が掲載されている。
(12)『花結びのアクセサリー』p18,31 【100288059 /594.4/T】
   金属製の金具を使用したカフリンクスではなく、紐を使っての作り方が掲載されている。

インターネット上にカフリンクスカフスボタンの専門店のホームページがあり、写真が豊富に掲載されている。
(13)『カフショップ』http://www.cuffshop.com/
(14)『カフス(カフスボタン)専門店』http://www.cuff.jp/


※【 】は自館の資料IDと請求記号

<回答プロセス>
カフリンクスは一般的に男性のファッションと考え、メンズファッションの資料もあたった。(3)の資料『メンズファッション大全』を見ると、カフリンクスとは、「日本では一般的に「カフスボタン」と呼ばれるもの」、「飾りのためのアクセサリー」とあるので、ボタンの資料をあたる。ボタンの資料だけでは、カフスについて書いてあるものがあっても、図版が少ないため、アクセサリーということなので、アクセサリーやジュエリーの資料をあたった。
また、インターネットの検索エンジンから「カフリンクス」と検索し、(13)、(14)のカフリンクスの専門店のホームページがあり、カフリンクスについての記述と多くのカフリンクスの写真が見ることができた。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000060149

様々な資料が回答文中に紹介されています。これだけあれば質問者が更にカフリンクスについて調べたい場合にも糸口が見えるのではないでしょうか。
まず,キーワードの選択が大事です。回答プロセスをみてわかるように,カフリンクスがメンズファッションのアイテムであること,カフスボタンと呼ばれることが多いこと,の2点がレファレンス質問への調査を始める時のポイントです。知っていればいいのですが,「カフリンクスって何だ?」という場合,通常は事典類を用いて,それがなんであるのかを知る必要があります。もっとも,この事例を提供している文化女子大学は服飾系の研究が盛んですので,当然服飾に関するレファレンスが多いもはずですので,そういう背景も調査の手がかりになるはずです。
洋書が何冊か紹介されていますが,これは素晴らしいと思います。個人的な印象ですが服飾に関する資料で豊富な図版を有している資料は洋書に多いような気がします。カフリンクスは西洋服飾のものですので,当たり前といえば当たり前ですね。
更に和文献として『Men's EX』や『メンズクラブ』を紹介しているのもいいと思います。男性向けファッション誌ですが,こういう一般雑誌(いわゆる学術誌ではない)をきちんと収集保存して,適切に利用出来る環境というのは素晴らしいです。これは大学の研究に関係する分野の資料ということでしょうが,一般誌というのは一度バックナンバーになってしまうと,なかなか簡単に入手できそうで入手しにくいという特徴があるため,こういう図書館の存在はありがたいと思います。
さて,質問はカフリンクスの作り方についても資料を求めています。カフリンクスは宝飾品,ジュエリーとしての要素が強いということからのアプローチが効いていますね。
そして,ネット上の専門ショップの紹介も面白いです。専門店があるんだなぁ…とついいろいろ見てしまいます。レファレンス協同データベースの改修が行われ,回答文中に記述されたURIハイパーリンクが付与されているので便利ですよね。細かな使い勝手がよくなっていると思います。これは嬉しいですねー。
僕はたまにカフリンクスを着けることがあります。よく使うのはゴムで出来たカフリンクスです。安いしカラーバリエーションが豊富だし…ということで手軽なので。最近のシャツはシングルシャツでもコンパチブル仕様ということで,ボタン止めだけではなくカフリンクス対応のシャツが多くて楽しいです。でも,暑いですからねぇ…。さすがに長袖を我慢して着るというよりは,腕まくりしたり半袖だったりとなるんでしょうか。
ずいぶん間が空いてしまいました。この間のことはおいおいどこかで書いてみようかと思ってます。なるべくちょこちょこ更新しようと思いますので,どうぞよしなに。

第6回レファレンス協同データベース事業フォーラムに参加したよ

去る2月17日,第6回レファレンス協同データベース事業フォーラムが行われました。昨年からフォーラムの名称に「参加館」という言葉がなくなっています。当日は朝東京でも雪が降っていて少しびっくりしました。
今回は国立国会図書館の東京会場と関西会場の2か所で行われています。そして,今回はUSTによる中継や,twitterによる参加,さらに東京会場ではシステムベンダー各社のプレゼンブースも用意されていました。かなりの仕掛けは用意されていましたので,あとは参加者がそれぞれ好きなように触れればいいという感じが良かったです。
例によって,そのうち資料や記録集が公表されるはずですので,それを待つことにして,個人的に印象に残った点をプログラム順に書いてみようかと思います。当日のtwitter*1のつぶやきを元に,各プログラム項目から,一つないし二つ程度簡単に触れていきたいと思います。講師・発表者の発言の解釈はあくまでもnachumeの個人的なものであることを予めご了承ください。

  • 開会あいさつ

長尾館長による開会の挨拶。一番のポイントは,事例データの数が圧倒的に足りないという点でしょうか。長尾館長は50万件程度の事例データがほしい,ということをおっしゃっていました。この点は非常にうなずけます。スケールメリットが生きてるくるためには,数が必要です。レファレンスの事例蓄積にかかる労力は承知しているが,レファレンスサービスが図書館サービスにとって重要なポイントであることから,ぜひ協力してがんばってほしいという長尾館長の言葉に励まされました。

  • 事業報告

年度の事業報告です。各種データについては,着実に拡大しているデータベースであり,それにともなうサービスを各館が本気で考えるべきかと改めて思いました。また,4月にはシステムのリプレースが実施される予定であり,検索用APIの実装やNOT検索の追加などこれまで要望されていた機能のいくつかが実装されるとのことです。個人的にはこれはとてもうれしいです。レファ協を利用したWEBサービスが各館で展開できるようになったと言えます。僕としてはレファ協にすべて事例を預けてしまって,APIを利用して自館サイトから検索したり表示させたりということをしたいと考えています。

レファレンスサービスをどう展開するかという点を基本的なところからお話していらっしゃいました。
個人的には大きく2点考えたことがありました。
まず一つ目は,コミュニケーションの展開に必要なスキルのことです。「デジタル時代の」ということで,原田先生は,情報資源の多種多様化を指摘していました。そして,これによるレファレンスサービスの手法の多様化についてあわせて指摘しています。たとえば直接カウンターでレファレンスライブラリアンに質問するという対面同期的なコミュニケーションに加え,メールによる非対面非同期的なコミュニケーションがレファレンスサービスのプロセスに組み込まれているという指摘です。このことは,ともすれば当たり前のことを言っているように聞こえますが,とても重要なポイントだと思います。一般に,コミュニケーションはそのツール(メディア)の様態にあった対人的相互作用が生まれるものですから,レファレンスサービスをどのツール(メディア)展開するかによって必要なスキルは異なってきます。ライブラリアンはそのスキルを身につけ,適切に使いこなすことが必要だろうと思いました。
もう一つが,情報の共有ということです。情報の共有というのはインターネットとともに非常にやりやすくなっています。基調講演では,レファレンスサービスについて,同僚同士の共有から他の図書館との共有がレファ協を通してできるようになっている点を指摘し,こういう共有化を促進していくのは,レファレンスサービスとしてはよい方向に働くと言っています。僕は,ここにもう一つ,サービスの提供側が共有し,さらに利用者も同時に共有することによる知のありようというのもあるだろうと考えています。レファレンスの事例をネットで公開しておくことは何も図書館のためだけではありません。調べ物をする一般の方にも十分に重要な情報なはずです。図書館のもつ情報を利用者をも含めてあらゆる人々と共有できることはすばらしいことだと思いました。
あ,もう一つ印象に残っているのは「レファレンスサービスはオートクチュール(一点もの)。レファレンスサービスでは,質問者の立場によって異なるニーズに適切に対応したいもの」ということです。これには大きくうなずきながら,だからこそ,その人にあう資料を提供できるようがんばりたいものだと決意を新たにしてみました。

  • 報告(1)「これまでの5年、これからの5年 −レファ協とともに−」埼玉県立久喜図書館 伊藤仁

7千件超の事例登録数がある埼玉県立図書館の報告です。3館の分担や物理的に距離がある場合のレファレンスサービスの組み立てと,レファレンス事例公開サービスの組み立てに興味があり,とても楽しみにしていた報告でした。
3館のうち,1館(久喜図書館)がレファ協の担当事務局となり,とりまとめを行っているとのこと。過去に蓄積されたレファレンス事例を計画的に電子化してレファ協へ投入しているようです。かなり前に作成された事例についても登録しており,コメント機能や一般の方から連絡をもらい事例がブラッシュアップされていくことも多いとか。
この報告を聞いて,やはり数を多くどんどん登録してしまえば動いていくことも多いのだと思いました。埼玉県立図書館では,レファレンス事例のレファ協への登録についてはきちんと担当係が業務上位置づけられており,かつワークフローが機能するような体制ができているように思いました。この点は,規模が大きい図書館であれば,クリアしなければいけないところです。どうやって業務フローを組み立てたのかにも興味があります。
しかし,数千件となるとなかなか他の追随を許さない圧倒的な量ですねぇ…。すごい。

こちらは小規模館(と言っていいのかな)でレファ協を業務に取り込んでいる平鹿図書館の報告です。なにからなにまで(掃除や草刈りなども)自分たちで行う中,非常勤職員を含めた職員全員がレファ協を利用した結果業務に生きてきたという実践報告です。研修への参加をきっかけに,古い綴りを引っ張り出してきて,それを地道に入力していったということです。レファ協への登録は一人でやっていたため不安だったこともあったそうですが,その時に研修で「参考資料が詳しく書かれていてよい」というようにほめられたので少し自信がもてたと話していました。地方での研修会は効果的に行われるとすごい威力を発揮するのだなぁと感心しました。この研修会で声をかけたのがレファ協の企画協力員でもある秋田県立図書館の山崎さん,青山学院大学の小田先生だということで,さすが!と思いました。

  • 報告(3)「現場における情報共有への取り組み −レファ協は一石三鳥−」愛知学院大学図書館情報センター 千邑淳子

大学図書館からは愛知学院大学図書館情報センターの報告です。この大学では,図書館情報センターの運営を業務委託しているということで,その場合職員・スタッフをどうマネジメントしていくかという点が大事になると思います。千邑さんの発表では,なんども「情報共有」という言葉が出てきました。やはり情報をいかに共有するかというのは重要なポイントですね。この情報共有の解決策の一つとして,レファ協へ参加して活用しているとのこと。チーム制をとり,メーリングリストでの議論やミーティングを重ね事例整備を行っているそうです。ここにも,やはり事務局機能の担当係があるようです。業務として複数人が事例作成に参画する場合,それらの進捗管理や登録等を実際に行ったりという調整役は,事例公開サービスにおいて必須の機能なのかもしれません。
レファ協に参加するようになって,スタッフの意識が変わってきたということをお話しされていました。これはレファ協の効果ですね。事例を作る,読む,ということを一人ひとりが自発的にするようになったというのは聞いている側としても,うれしくなりました。あ,発表の中でこの「レファ協ほめまくり」のことを紹介してくださいました。ありがとうございました。これからも続けていきますので,よろしくお願いします。

  • パネルディスカッション「日常業務の中のレファレンス協同データベース―「特別」から「当たり前」へ―」青山学院大学教育人間科学部教授 小田光宏(コーディネータ)/鶴見大学文学部教授 原田智子 / 埼玉県立久喜図書館 伊藤仁 / 横手市立平鹿図書館 遠藤博巳 / 愛知学院大学図書館情報センター 千邑淳子

パネルディスカッションは,事例報告をふまえ,「特別」と「当たり前」についての話です。コーディネーターは小田先生。「第2回のフォーラムと同じフレームワークで,パネルディスカッションを進めていく。この4年でどれくらいどうなったのかが見えてくればいい。当たり前の業務=日々作る,日々使う,日々伝えるということで考えていく」ということで始まりました。
いくつかの質問をもとにディスカッションが展開されていきました。いくつか気になったことをメモしておこうと思います。
レファ協の登録事例と自館サイトで公開する事例の棲み分けをすべきかどうか
という質問がありました。これは多くの図書館が自館サイトでレファレンス事例を公開していることによるのでしょう。レファ協事務局では事例は棲み分け等を考えずに登録してほしいということを言っていました。この点は僕もそう思います。レファ協をうまく活用して自館サービスに取り込んでしまえばいいと思っています。検索用のAPIも公開されるようですので,事例の見せ方を工夫することで,例えば地域情報に特化した事例を自館サイトで紹介することもできるように思います。
レファ協に参加することによる職員の変化
これは遠藤さん,千邑さんが繰り返しお話ししていました。レファ協への参加によって確実に職員の意識や行動が変わっていく,ということです。日常的に触れるような仕組みを作ったことが大きいのだろうと思いますが,そこを仕掛けたお二人にも拍手を送りたいです。
・事例のメンテナンスについて
登録した事例をどうするか,ということが毎年フォーラムで話題になっているように思います。コメント機能をうまく使って事例をメンテナンスしてほしいということを事務局では回答していました。これについては,積極的にメンテナンスすべき,という考え方とメンテナンスは必要最小限にすべき,という考え方があると思います。基本的にはどちらでも,参加館による考え方だと思いますが,僕は,後者でいいと思っています。メンテナンスは必要最小限でかまわないと考えるのは,何よりも事例数を多く登録していこうという方へ力を配分したい,実際にその時点で存在した図書館のサービス記録という意味合いももつレファレンス事例はなるべくその時点で存在したレファレンスをそのまま残しておいてもかまわない,というような理由が挙げられます。完璧を目指す必要はあまりなく,回答プロセスや参考資料が,なんらかの形で活用される方がよほどそのレファレンス事例は生きてくると思います。小田先生は「肩の力を抜いて参加してほしい」旨おっしゃっていましたが,まさにその通りだと思います。小田先生がディスカッションの最後に「いいものしかでない=絞り切ったものしかでないというのはちょっとどうかと思っている。レファ協のコンセプト的には,肩に力を入れないでたくさんの事例を登録してほしい」と言わなくてはいけないのがなんとも。

  • ブースについて

ブースは4社くらいの出展がありました。僕は,3つほどのブースでお話をしました。各社レファ協の標準フォーマットに準拠したり,あるいはマッピングで対応したりと,レファ協との連携はできているようです。
当たり前の業務にするためには,システム的な連携も不可欠でしょう。少なくともWEBのインターフェースだけでは,業務として使うのは厳しい部分もあるように思います。インターネットへのアクセスが業務用端末からできない場合もありますし,必要最小限の項目だけ入力して,あとで直すというような使い方もWEBのインターフェースではちょっと難しいです。ブースとは関係ない話になってきましたが,そういう点では,データの登録系APIが実装されるとなおそういう部分が解決するのではないかと思います。

ということで,レファレンス協同データベースのフォーラムに参加して思ったことや覚えておきたいことをメモとしてだらだらと長く書いてみました。東京での初開催ということで,僕は距離的に参加しやすくなり,うれしい限り。もうちょっと参加者がいてもよかったかなぁと思います。事務局の皆さん,登壇者の皆さん,関係者の皆さん,会場でお会いした皆さん,お疲れ様でした。そして,ありがとうございました。久しぶりにお会いできた人もいて本当にうれしかったです。

2月17日はレファ協フォーラムです!

来月2月17日に,国立国会図書館東京本館で,レファレンス協同データベースのフォーラムが開催されます。
今回で6回目となるフォーラムは「「特別」から「当たり前」へ」というテーマとのことです。とても楽しみなテーマです。
詳細は↓のリンクを。
http://crd.ndl.go.jp/jp/library/forum_6.html
募集期間は今日までだったのですが,1週間伸びた模様です。2月5日まで受け付けるようですので,是非どうぞ。
パソコン席の用意やtwitter対応なども仕掛けられており,おもしろそうなイベントになりそうです。

少し話を戻して,このテーマについて,若干思うことをメモとして書いておこうと思います。このテーマはとても重要なものと思います。nachumeの勤務館でも,レファレンスの事例公開を「当たり前の業務」にするべく奮闘中です。誰かがやっている業務ではなく,誰もが参画しレファレンスサービスの一環として提供する間接サービスという認識を持てるような取り組み(これは現場の図書館員が共有すべき事柄です)をいかにして仕掛けるか,ということも大事なのだろうと思います。「当たり前の業務」という認識を現場で共有するには,ワークフローの見える化は必須だと思っています。見える化した業務をみんなが共有し,役割を分担し,事例公開のサービスを展開するというノウハウはいまだ十分ではなく,蓄積過程にあるといってもいいかもしれません。だからこそ,こういうフォーラムのテーマになるし,業務の構築に携わる機会に恵まれているとも言えます。
レファレンスサービスとして事例公開サービスが当たり前のように行われるようになればいいなぁと思っています。*1
というわけで,nachumeは東京本館に参加します。見かけたら声をかけてくださいね。

*1:そうなったらたぶんこのレファ協ほめまくりの役割は終わるんだろうなぁ…

「日本三大祭り」「日本三大河川」とは何を指すのですか。

よく耳にする「三大○○」とか「○○四天王」とかいう類のものは、その指し示す内容をいったん気にするとしばらくの間妙に気になりませんか?
こういった事柄を調べるときのアプローチは覚えておくと、ちょっとした場面で役に立つことがあるかも知れません*1。もちろん「これが正しい!」という回答に行き着くことは必ずしも多くなく、諸説あるものがほとんどです。
レファレンス協同データベースには、こんな事例が相当数ありますが、そんな中から今回は千葉県立西部図書館さんの提供事例を紹介しようと思います。
まずは、回答を引用します。

本質問のように、数字が関わるものについては、事象を零から無限大に分類して説明を付している『名数数詞辞典』(東京堂出版)や、『日本三大四大五大事典 自然・動植物編』(日本情報センター)のような資料が役に立ちます。
質問の「日本三大祭り」は『名数数詞辞典』に出てきます。これによれば、京都賀茂神社葵祭(5月15日)、大阪の天満天神祭(7月25日)、東京の日枝神社山王祭(6月15日)をあげる説、葵祭、住吉南祭(大阪住吉大神、7月21日)、くんち(長崎諏訪神社、10月7・8・9日)とする説、その他幾つかの説があります。
次に「日本三大河川」ですが、上記の2冊及び『トップ・ランキング事典』(東京堂出版)ともに、長さでは信濃川利根川石狩川の順。流域面積では利根川石狩川信濃川の順、となっています。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000004121

この回答のすばらしいところは、なんといっても、1行目です。「数字が関わるもの」について調べるときによく使う辞典を紹介しており、質問者、あるいはこの事例を読んだ人がこの質問にて調査されている「三大祭」「三大河川」以外のものを調べることができるような回答になっていることがその理由です。
「名数」という言葉は決まった数のつく言葉という意味をもちますが、こういった言葉を集めた辞典が世の中には存在します。なんといっても有名なのはこの事例でも取り上げられている『名数数詞辞典』でしょう。一度この『名数数詞辞典』を手にしてみると面白いです。名数にはこれほど多くのものがあるのか、と感心します。
また、この事例では日本全国を基準にした名数を調査していますが、地域によって「三大○○」という具合に呼ばれているものが数多くあり、そういう特定の地域を対象とした名数辞典もあります。(もっとも、辞典といっても独立した1冊の本ではない場合もありますが)各地域の図書館の地域資料を探すと見つかるかもしれません。
「日本三大祭」については、この『名数数詞辞典』で諸説確認できています。*2
「三大河川」については、『名数数詞辞典』以外に『日本三大四大五大事典 自然・動植物編』と『トップランキング事典』を参照しています。名数事典の類ですが、『日本三大四大五大事典』ってすごいタイトルの本ですよね。「大きい」の意味が「河川長」か「流域面積」かの違いはあれど、自然のものが急に大きく変動することは考えにくい事柄です。名数事典とは若干異なりますが、『トップランキング事典』を参照するというのも十分練られた検索戦略と言えるでしょう。この発想も大事ですね。
レファレンスでは、通常主題を重視しますので、普通のアプローチを考えれば「祭礼」とか「河川」といったキーワードを元に調査することになると思います。ですが、覚えておくなら、この事例のように言葉の用例という主題の設定の仕方もありだということでしょう。「名数」というキーワードが頭に浮かべば、これらの辞典類にたどり着くにはそう難しいことではないと思います。
レファレンス協同データベースで「名数数詞辞典」をキーワードに検索してみると、この辞典を用いたレファレンス事例が数多くヒットしますので、一度見てみてください。面白いですよ。

*1:とはいえ、そんな場面は具体的に想定できないのですが…

*2:余談ですがnachumeがこの中で見るとしたら、長崎くんちを見てみたいです。

日本が研究開発費にどのくらい予算をあてているか。また国際比較があれば見たい。

前回に続いて,統計情報を調べる方法を検討していきます。定番のレファレンスツールとして登場するのが『統計情報インデックス』です。この資料は名前の通り,国内の主要な統計情報のインデックス(索引)です。キーワードをもとにどんな統計情報があるかを探すことのできる資料です。使い方を覚えてしまえばかなり便利な資料です。
ということで,今回は最近各所で話題になっている「研究開発」に関する費用についての調査です。レファレンス質問の主題は研究開発ということを念頭に置きながら,かつ,効率的に統計データを調べる方法を押さえておきたいものですが,この回答はそれを見事に行っています。回答と回答プロセスを引用します。

<回答>
文部科学統計要覧、科学技術要覧、科学技術白書、国際連合世界統計年鑑、世界の統計、図表で見る世界の主要統計、ユネスコ文化統計年鑑 などをご紹介しました。(詳細は回答プロセスに記します)

<回答プロセス>
A.『統計情報インデックス』で研究開発費、研究費の項目を見る。
→紹介されている7冊のうち、当館所蔵は、4冊(本の情報は、2009年3月時点で当館が所蔵する最新のもの)
1.我が国企業の海外事業活動 第34回 平成16年度海外事業活動基本調査 経済産業省経済産業政策局調査統計部/編 2006.2 国立印刷局(335.2/ワカク 1014773913)日本企業の海外での事業活動についての調査。
2.科学技術研究調査報告 平成19年2007 総務省統計局/編集・発行(407/S2/1-07 1018368983)調査対象は日本のみ。
3.文部科学統計要覧 平成20年版(2008)文部科学省著作権所有 2008.3 国立印刷局ISBN:9784174430832 (370.5/M/6-08 1015203555)日本の統計のみ。
4.科学技術要覧 平成20年版(2008)文部科学省/編集 2008.5 日経印刷 ISBN:9784904260005 (505/K/3-08 1015213836) 
※この資料には主要国等の研究費についても統計データが掲載されている。資料のはじめに、研究費について書かれている。

B.『ビジネスデータ検索事典』で研究開発費 の項目を見る。p.165に、「各国の研究費、研究員数は?」という項目があり、ここには、上記4.科学技術要覧のほか、科学技術白書が紹介されている。
5.科学技術白書 平成20年版 文部科学省/編 2008.5 日経印刷 ISBN:9784990369798 (505/K/1-08 1015260019)p.47に国際比較したグラフが掲載されている。

C.統計のコーナーをブラウジング。国際比較が見たいということだったので、OECDの資料や、国連、ユネスコの資料を確認する。
6.『国際連合 世界統計年鑑』2006 国際連合統計局/編集 2008.7 原書房ISBN:9784562041688 (350/S3/06 1015213513)p.586〜「資金源別研究機関に関する国内総支出」の掲載あり。
7.『世界の統計』2008 総務省/編集発行 2008.3 (350/K3/08 1018376499)p.192に「研究者数・国内研究費」の掲載あり。
8.『図表でみる世界の主要統計』OECDファクトブック(2007年版)経済協力開発機構OECD)/編著 2008.2 明石書店 ISBN:9784750327235 (350.9/ケイサ 1015192493)p.147 にR&Dへの国内総支出の掲載あり。
9.『ユネスコ文化統計年鑑』1999 ユネスコ/編 2000.4 原書房 ISBN:4562032936(350.9/ユ/99 1013515174)p.593に、資金源別国内総研究開発費の構成比 の掲載あり。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000052761

回答プロセスを読むと大きく4つのプロセスをへて,提供資料を選んでいることがわかります。いずれも資料へのアプローチが適切なので,ぜひ見習いたいもの。
Aにあげられたのは冒頭でも紹介した『統計情報インデックス』を用いたものです。このアプローチは主題である「研究開発」というよりは,「統計情報をさがす」という調査種別を切り口にしてますが,主題に関係するキーワード「研究費」「研究開発費」を用いて,必要な統計情報を探しています。
研究開発に関する調査統計情報として,1〜4までの資料のうち,ぜひ覚えておきたいのが,総務省統計局の公表している『科学技術研究調査』と文部科学省の公表している『科学技術要覧』です。
研究開発は大学等以外に,企業でも行われていますが,この調査ではそういった企業における研究開発費用についての統計も載っています。いずれも日本国内を対象としていますが,国内の研究開発,科学技術の動向を数値的に把握したいときに参照すると便利な資料です。『科学技術研究調査』の統計データそのものは冊子体以外に,「平成21年科学技術研究調査」でも入手できます。
質問では,国際比較を視野に入れているので,諸外国の数値も把握したいという要求に対応する資料を提供する必要があります。そこで,必要な視点が,OECD国際連合といった機関の発表するデータです。諸外国との比較ということで何らかの調査をするときは『国際連合世界統計年鑑』をまず参照すると良いでしょう。広範囲な分野にわたって各国のデータが得られます。回答プロセスにもあるように,今回の質問に関しては「資金源別研究機関に関する国内総支出」が有効だと思います。
国際連合世界統計年鑑』がすぐに入手できない,参照できない場合もあるかと思いますので,その時は,総務省統計局の『世界の統計』を参照してみるといいかもしれません。この『世界の統計』は主要な項目について各国のデータを得られます。インターネットでも見ることができますので*1,まずは取りかかりとして調査してみるのもいいでしょう。例えば平成21年版には,第7章「科学技術・情報通信」とあり,研究費についても載っています。出典の表はOECDの調査によるものですので,必要であれば,原典であるOECD, Main Science and Technology Indicators Volume, 2008/1 にあたることができます。
資料については,これくらいにして,回答の書き方という点から見てみますと,回答プロセスが秀逸で,それぞれの資料に付されたコメントをみれば,国内対象の統計データなのか,国際比較が可能な統計データなのかわかります。こういう配慮はとても大事ですね。また年刊の資料がほとんどですので,「本の情報は、2009年3月時点で当館が所蔵する最新のもの」のように一言記入しておくのも事例を参考に調査をしようとする人に優しいです。読んで勉強になるし,すごく配慮がされていて,類似の調査にも活用できるもの思います。すばらしいですね。こういう事例の作り方を学びたいですね。
少し余談。統計データはインターネット上の情報源を含めれば,かなり多く出回っています。意図するデータを利用するためには,体系的にまとまった資料を使いこなすことが必要です。そういう体系的にまとまった資料の一つが今回紹介した『統計情報インデックス』です。むやみやたらと検索エンジンで探すより,場合によっては効率的に情報が入手できます。体系的な整理という仕方が効果的である分野の一つが統計データではないかとnachumeは思っています。