卒論で、子供の権利条約について、成立の過程から現在までの実施状況、日本の現状を書きたい。関係する国連文書はあるか。国連文書の調べ方、条約の勉強の仕方を教えて欲しい。

もう三月も下旬にさしかかろうとする今日この頃。大学は卒業式シーズンです。
春から夏にかけて,あるいは秋になって*1学生さんが「卒論なんですけど……」と憔悴しきった顔でカウンターにやってくることがあります。公共図書館にしかない資料を求めに来るならわかるのですが,一般的な調べ方や資料の紹介にあたって,何故大学図書館に行かないのか不思議に思うこともしばしばあります*2
というわけで,大学図書館の事例をピックアップしてみました。卒論の相談として,きれいにまとまっており,かつ回答が調べ方の紹介を重視している点で非常に評価できます。
回答を見てみましょう。

(1)国連文書の調べ方: 国連のホームページで検索・入手できる。
(2)条約について: Treaty series という条約集を所蔵しているが、条約の原文が集約されている資料なので、実施状況が知りたい場合には役に立たないかも知れない。
(3)NACSIS-Webcatで検索: 「こども けんり じょうやく」で検索すると多数の図書が出てくるので参考にされてはとすすめる。
(4)「国際連合の基礎知識」(99.11.30発行)の p.275-に子供の権利条約についての大まかな流れがかいてある。
(5)質問者が、京都在住なので京都国連寄託図書館を勧める。
<※一部引用者によるテキストの整形済み>

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000004333

卒論を書くという作業は,学生がやらなくてはいけません。どの論文を使って,どんな論を組み立てるかは,学生本人の作業です。そのために必要な資料は図書館を使って入手します。その入手については,ライブラリアンが手伝ってくれます。回答文をみてわかる通り,あくまで手伝うだけです。
Webを使った文献入手の仕方,NACSIS-CATの使い方,概括された資料の紹介,国連寄託図書館という機関の紹介など,質問者がそれらをとっかかりに,自分にあった資料を選択できる資料を紹介しています。
レファレンスは利用者と資料をいかに結びつけるか,という点が重要なのです。この事例はその重要な点を改めて教えてくれます。
年が明けると,「おかげで卒論書き終わりましたー!」と報告に来てくれる学生さんが,偶にいるのですが,そういうのは非常に嬉しいです。「あの資料があったおかげです」なんて言われたら,レファレンス・ライブラリアン冥利に尽きます。
これから卒論を書く皆さん(がこのサイトを読んでいるとは思わないけど*3)。大学図書館の方にお世話になったと思ったら,ぜひ書き終わった後持って行って見てください。喜ばれますよ!

*1:間に合うのか知りませんけど

*2:nachumeは公共図書館のレファレンス・カウンターに座っているのです。「『先生に図書館に行って,文献を入手してこい』と言われたんです」とまるで他人事のように参考文献の書かれたレジュメを持ってくる学生が相当います。先生は大学図書館に行け,という意味で言ったのではないかと思うのですよ。もちろん,公共図書館でも資料の提供は可能です。でもねぇ……。学術論文のコピー取り寄せなんかは圧倒的に大学図書館の方が便利だと思うんですけど。

*3:一体このサイトを読んでいる人は何者なんだろう? そもそも誰を対象に文章を書いているのかnachume自信もよくわかっていません……ダメじゃん。