お茶について調べる(調べ方案内 Milestone No.6)

コーヒーとくればセットで語られることが多いのが紅茶。今回は紅茶について……というよりはお茶に関して全般的に調べるときの手順についてです。調べ方マニュアルを取り上げるのは久しぶりですね。
調べ方を見てみましょう。

◆テーマ
 お茶は私たちの暮らしに最も欠かすことのできない嗜好品のひとつです。「茶道」というと少し構えてしまいますが、飲むだけでなくお茶を楽しむさまざまな方法について、入門的な資料を中心に情報の探し方をご案内します。

◆キーワード
 特定のテーマについての情報を探す場合には、あらかじめ調べたいテーマを象徴するキーワードを決めてから調査を開始すると、手際よく情報を集めることができます。
(略)

◆関連資料・情報の集め方
1 入門的な情報源を見る
(略)

2 テーマに関連する図書を探す
◇図書館にある本を探す
(1)直接本棚を探す
596.7( 喫茶関連 ) 791( 茶道関連 )
略)

(2)検索用コンピュータで探す
「件名」や「分類」の欄に上記のキーワードや分類を入力して検索をしてみましょう。
(略)

(3)テーマ別資料リストで探す
『「和のこころ」へのいざない お茶を楽しむ 資料リスト』(2006/03) は、目的別に編集された所蔵資料目録です。

◇図書館にない本も含めて刊行された本を探す
(1)図書館にある目録類で探す
 『茶書の研究』 筒井紘一/著 淡交社 2003 p454-517[茶書総覧]

(2)インターネットで探す
 国立国会図書館 NDL-OPAChttp://opac.ndl.go.jp/
 国立情報学研究所 Webcat Plushttp://webcatplus-international.nii.ac.jp/
 淡交社http://tankosha.topica.ne.jp/index.html

3 調べものの本(参考図書)を使う
参考図書(*)の主題分類[2(1)参照]の書架を見てみましょう。
(略)

4 テーマに関連する雑誌記事、論文を探す
◇所蔵雑誌を探す
『雑誌新聞総かたろぐ 2005』で、関連する雑誌にはどんなものがあるか見てみましょう。検索用のコンピュータに雑誌のタイトルを入力して検索すれば、その雑誌を所蔵しているか確認できます。
(略)

◇雑誌記事、論文を探す
国立国会図書館 雑誌記事索引》や《MAGAZINEPLUS(*)》をキーワードで検索する
(略)

5 新聞記事を探す
新聞縮刷版(*)や新聞記事データベース(**)で関連する出来事についての新聞記事を調べることができます。
(略)

6 AV資料を探す
『埼玉県立図書館所蔵視聴覚資料目録』の主題分類[2(1)参照]を見てみましょう。
(略)

7 関連する研究機関・WEBサイトを見る
(略)

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.manual?id=2000000823

具体的な検索ワードや資料はこの調べ方マニュアルを直接見ていただくことにします。
この調べ方マニュアルはお茶に限らず,様々な調べ物に通用しそうですね。
「百科事典や入門書にあたる」「主題に沿った書架をブラウジングする」「テーマ別の資料リストを利用する」などは図書館利用の基本中の基本です。
書架のブラウジングはいろいろな資料に出会うチャンスですが,自分が調べたいテーマがどの分類に含まれるか,というのはなかなか把握しづらいことがあります。従って,今回はお茶ですので,お茶に関する主題は,どこに分類されるのかがわからないとうまく資料にたどり着けないことがあるのです。ある程度調べたいことについてわかっていないと,資料にたどり着けないということで,これを裏返すと,本当に知らない事柄は探せないということに究極的にはなってしまいます。そのために調べ物の入口にライブラリアンがいるのですよ。資料も人もうまく使うことが大事です。
そして,レファレンス・ライブラリアン(に限りませんが)はこのことを常に頭の片隅に置いておくことが絶対に必要です。図書館にどんな資料があって,その図書館ではどのような主題分類を行っているのか,きちんと把握しておかなければなりません。専門図書館をのぞいて大体はNDC(日本十進分類)に準拠した主題分類が行われていると思いますが,ライブラリアンは大まかな類・綱・目を覚えておくべきです。
そして,利用者が自分で必要とする主題を持つ資料へたどり着けるようなサインを備えるべきでしょう。意外とこの辺は難しいのですが,日々カウンターやフロアワークを通じてつかみましょう。
調べ方マニュアルに話を戻しますと,図書資料のみならず,雑誌や新聞記事の探し方や,AV資料の探し方にも言及されています。ともすれば,書架に並んでいる本ですまそうとしがちですが,図書館資料をフルに使うには雑誌や視聴覚資料にも目を向けてみることも必要です。そのあたりの配慮がここに現れていますね。
お茶に関する資料と言われたときに,「淡交社」の資料にあたるというのはレファレンスの定石といって良いと思いますが,さりげなくこの淡交社のWebサイトが紹介されているところがきちんと押さえるところを押さえているな,と思います。
この調べ方マニュアルは調べものの第一歩としても十分使えます。しかし,お茶に関する調べ物としても十分にポイントを押さえたものになっています。一般の利用者のみならず,図書館員にとっても有用なものとなっているといえるでしょう。