介護休業の取得率はどのくらいか

介護関係で何か調べに来る人は大きく,介護そのものについて調べたい人と,介護を取り巻く情勢を調べたい人にわけられるように思います。今回紹介する事例は後者にあたるものです。調査の基本中の基本とでもいうべきものです。
回答と回答プロセスを引用します。

<回答>
『女性雇用管理基本調査平成14年度』の第28表「産業、事業所規模、最長介護休業期間、介護休業規定の有無、男女別介護休業を開始した者の労働者に占める割合」より、介護休業取得者率は0.05%であることが判明した。

<回答プロセス>
厚生・労働関係のレファレンスであることから、自館所蔵の『女性労働白書(平成16年度版)』と『厚生労働白書(平成17年度版)』で取得者率を確認した。
また、新聞データベース『日経テレコン21』で記事検索をし、ヒットした記事中にも取得者率が掲載されていた。
これらのツールから『女性雇用管理基本調査(平成14年度)』が出典であることを導き出し、インターネット上の検索エンジンで検索をかけ、『「平成14年度女性雇用管理基本調査」結果概要』(参照URL : http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/07/h0717-1.html)で、実際の表が、公開されていることが判明した。
ちなみに、『女性雇用管理基本調査』の平成15、16年度には、介護休業制度の調査はなかったので、平成14年度のデータが一番新しいものであった。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000030524

考えられる検索手段としては,ここにあるように関係する白書類を探す,新聞記事などを探すというものでしょう。介護休業に関することは雇用・労働関係ですので,厚生労働省の所管事項であると考え,厚生労働白書を探すのは,まず最初にすべきことです。公共図書館であれば少なくとも市町村の中央図書館には所蔵があるでしょうから,わりと簡単に入手できるかと思います。
それ以外にも,このプロセスには「女性労働白書」が挙げられています。これも「女性」と冠がついているものの,労働関係の統計調査結果が載っているので,女性関係でなくとも,労働関係について調査する時には目を通しておくのもよいと思います。
ポイントは次の段,出典資料をきちんと特定していることです。この場合は「女性雇用管理基本調査」という調査であることがわかりました。この調査は毎年行われていますが,年度ごとにテーマが設けられます。この事例にあるとおり,平成14年度に一度行われ,その後 平成17年度にも,「育児休業制度及び介護休業制度等の実施状況等」について行われています。*1 各種白書や年鑑類に統計調査の結果が載ることがありますが,必ず出典が書いてあります。利用者が情報源をどの程度まで求めているかを的確に判断し,資料の提供を行わなくてはなりません。通常であれば,白書を提供することですむ場合にも,1次資料として発表されたものが欲しいということであれば,そちらに対応しなくてはなりません。場合によっては,発表元へ問い合わせ,入手方法を聞かなくてはならないこともあるかもしれません。利用者が何を求めているかをきちんと把握するのは重要です。
一つささいな点ですが,レファ協の事例中にURIを記入するときはどこかで参照日を記入するとよりよくなると思います。2007/07/03現在,事例中のURIは問題なく参照できます。いずれにせよ,この事例のプロセスはぜひ覚えておきたいものばかりですね。すばらしいです!

*1:事例作成時には平成17年度調査は発表されていなかったので,回答文中には触れていないのだと思います。参考までに, 平成17年度調査については厚生労働省の統計調査別公表データをご覧ください