一年のうちで、任意の日の平均的な天気がわかる資料はないか(例えば10月10日は晴れる場合が多い、など)。

10月10日は体育の日,というのは少し前の話。ハッピーマンデー制が導入されたために,体育の日は10月10日から,10月第2月曜日へ移動しました。そのお陰で3連休となる人も多いことでしょう。公共図書館は祝日も開館しているところが最近は多いんじゃないかと思います。休みの日に図書館で過ごすのもまたいいものですよ。
10月10日にちなんでレファレンス事例をピックアップしてみました。ご存じの人も多いことでしょう。特異日についてです。
回答を引用していきましょう。

1 任意の日付から各年の天気を通覧できる資料は、個人のウェブサイトで一部地域の天気を掲載しているもの以外には見つからなかった。

2 質問者が例を示したように、天気にまとまった傾向が表れる日のことが「特異日」と呼ばれていることに気付き、関連資料を探索。『気象年鑑 2005年版』p.244に特異日10年分の的中表が掲載されていたので、これを提供。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000027861

気象データを調べるレファレンスに回答する際に忘れてはいけない点に,地域の特定があげられます。小さい島国と言われようと,日本列島はそれなりに大きいし,南北に長いため,北海道と沖縄の天気は同じ日であっても違います。当たり前のことですが,大前提です。
大抵は質問のあった図書館のある地域について調べることが多いです。中には全国網羅したいとか,特定の都市と比較したいとかいう要望もあるでしょうけれど。この事例なら,提供館である岐阜県図書館のある岐阜県地方の天気と考えた方が素直です(……よね?)。
その前提を確認したら,次の段階。天気の平均値というのはわかったようなわからないような表現ですので,うまく資料提供に結びつける腕が問われます。
よく昔から「10月10日は晴れる」という話は耳にしています。これを「特異日」というのはご存じですよね。「台風一過」と同じくらい漢字間違いがネタになる語句です(言い過ぎかな)。この特異日というキーワードをきちんとすぐに見つけられるかどうか,がレファレンスのスピードに関わりますね。この事例の場合もすぐにキーワードに辿り着いています。さすが。
この事例では『気象年鑑』を提供していますが,気象関係の基本資料をきちんと押さえています。気象年鑑以外にもいくつか資料にあたったと思います。そして,利用者とやりとりしながら,使いやすいものを選んでもらったのではないかと思います。『気象年鑑』は気象庁監修で1年分の気象データが掲載されている資料です。細かい気象データが載っているので,便利です。過去のもあわせて利用するとより便利さがわかります。もっとも,年をまたいでデータが欲しいときは『理科年表』を一度見てみるのも悪くありません。求めるデータが載っていれば一覧性は『理科年表』の方がいいと思います。
『気象年鑑』も『理科年表』も定番なので,もう一つ資料を紹介。このレファレンスに利用できるかというと,ちょっと疑問符がつきますが,気象データ,とくに天気図を調べるときに面白い資料があります。

  • 森田正光著・監修 ; 森朗著 : 10年天気図 : 明日の天気がひと目でわかる!. 小学館, 1996

1986年から1995年までの10年分の天気図を収録した本です。10年ほど前の資料ですから,どんな問い合わせにも通用するというわけではありませんが,不思議と10年前とか20年前とかそのあたりと比較したいという要望をよく聞くので,覚えておいて損はない資料だと思います。うまく収録期間にあたれば手軽で便利な資料です。
話が大分それてきましたがもう一つ。気象関係のデータを調べる場合,このような冊子体資料ももちろんですが,インターネット上で気象庁が公開しているデータも充実しています。

直近数年分のものは,大抵ここから入手できます。ここで入手できなければ,図書館を使いましょう。図書館は過去のものも所蔵しています。所蔵がなければ,所蔵している図書館を教えてくれます。直接出向かなくても,所蔵館から借りたり,コピーを取り寄せたりできます。インターネットも図書館も上手に組み合わせて使うと,調査研究を協力にアシストしてくれます。
事例にもどりますと,気象関係の基本書をきちんと提供できており,こういう関係のレファレンスに素早く回答できるのはさすが,と言えますね。

さて,10月10日が体育の日というのは,東京オリンピックの開会日であったことに由来するものですが,いまにして思うと,10月10日から夏のオリンピックを行うのって相当遅い時期の開会ですよね(だからなんだって話ですが……)。