20年くらい前の兵庫相互銀行の通帳が出てきた。引き継がれている銀行があれば、連絡先を知りたい。

前回に引き続き,銀行図書館が提供する事例を紹介したいと思います。
引越の時,大掃除の時,あるいは家族の遺品を整理していた時などに,古い預金通帳を発見したので問い合わせたい,という状況下にあったとして,その銀行がいまどうなっているのか,を調べないと問い合わせようがありません。自分で調べるのも良いのですが,図書館には便利なレファレンスブックがあります。
回答と回答プロセス,参考資料を引用します。

<回答>
みなと銀行の電話番号を伝えた。

<回答プロセス>
1.平成元年2月:兵庫相互銀行が普通銀行に転換し、兵庫銀行と改称
2.平成8年1月:新設のみどり銀行に営業譲渡(その後、兵庫銀行は同年3月に解散)
3.平成11年4月:阪神銀行に合併、みなと銀行と改称

<参考資料>
「本邦銀行変遷史」(東京銀行協会銀行図書館、平成10年)

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000003841

そのものズバリなのですが,この『本邦銀行変遷史』という資料は,非常に便利な資料で,国内の銀行を明治以来網羅しており,各銀行の沿革を調べることができます。この質問で探したい「兵庫相互銀行」も,もちろん載っています。あとは,丹念に銀行名を追いかけていけばいいわけです。回答をよく読んでいくと,『本邦銀行変遷史』の出版は平成10年なのに,平成11年の話が出てくるのは少しおかしいな,と思うかもしれません。
この『本邦銀行変遷史』はインターネット上で,「銀行変遷史データベース」として公開されています。

有名なので,レファレンス・ライブラリアンであれば,知っている人も多いと思います。知らなかったら,ぜひ覚えておくといいと思います。役に立つ局面がきっとあります。国内の銀行を網羅しているため,地域・郷土に関するレファレンスにも役に立ちます。nachumeは地域資料の担当に在籍しているのですが,たまに昔の金融機関を調べることがあります。その度に,便利だなぁと実感しています。特に,設立や合併の時期が特定されるので,他の資料にあたろうとするときに,このデータベースで得られた情報をきっかけにすることができます。
このような資料を作成し,またインターネットで公開している銀行図書館はすばらしいと思います。