群馬県藤岡市中央公園に関孝和の石碑「算聖之碑」があり、碑文に武田氏との関わりが書いてあるそうだ。碑文全文が知りたい。

前回に次いで,和算に関する事例をもう一つ。今回はお約束というべきでしょうか,関孝和に関する事例です。関孝和は算聖と呼ばれています。群馬県藤岡は関の生誕地とされており,そこに算聖之碑という顕彰碑(というのかしらん)があります。
回答を引用します。

関孝和の父は内山七兵衛であるが、碑文には関五郎左衛門に養われ同家を嗣いだこと、内山、関家の両家は武田家の遺臣であり、藤岡の領主芦田家に仕え、芦田氏没落の後、徳川家に使えたことが記されている。なお、碑文全文について は照会資料『関孝和』(平山諦著 恒星社厚生閣 1959)をご覧ください。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000039273

この質問の場合は,「関孝和」という人物調査をしていく方法と,「藤岡の碑文」という地域調査をしていく方法と大きく二つが浮かびます。
回答文と参考資料(引用はしていません)を見るとどちらかというと「関孝和」に関する人物調査ということで進めていったように見受けられます。地域調査となると市町村史(誌)を中心にまず参照したいところですが,他地域の資料が必ずしも蔵書に存在するとは限りません。人物調査をきっかけに,調査が展開していくことを期待するのは間違いでは無いと思います。
関孝和に関する資料は,NDC分類の「419」あたりをブラウジングするだけでも数冊見つかるかもしれませんし,キーワードに「関孝和」を指定してOPACで直接調べていっても何冊か資料に行き着くと思います*1。あとは手にした資料に碑文があるかどうかを見ていくと,「算聖之碑」を見つけることができます。この事例では平山諦の著書を紹介しています。
事例に戻ると,シンプルな回答で,良いですよね。碑文の趣旨と全文を資料の提供とともに行うという基本をしっかり実践しています。
さらに,キーワード(引用していません)に,カタカナでヨミを振っているのもユニークだと思います。同じフィールドに入れてもいいんじゃないかなとも思いますが,それでも,漢字とヨミと両方が検索対象となるのはすばらしいと思います。アクセスのバリエーションが広がりますね。
すこし余談ですが,この事例で紹介されている資料の著者である平山氏は東北大学和算史を研究していた研究者です。彼の和算関係の蔵書は現在東北大学のコレクションになっています。和算資料を検索していくと,必ずと言っていいほど,平山氏の著書が検索されてくるので,覚えておいて損は無いですよ。近年筑摩学芸文庫などで過去の著作が復刻されているので,それなりに入手しやすくなっています。


さらに余談ですが,皆さん数学とか日常親しんでいますか? nachumeの机には「チャート式数学I+A」とか「大学新入生のための数学」とかそういう本が2,3冊並んでいます。今さら大学受験なんぞするわけではなく,昼休みに問題を一つ二つ解くというだけなんですが……。いや,なんていうかですね。数年前より明らかに計算力が落ちている気がするんです。なんていうか暗算がすごく遅くなっているような自覚があります。ある日ふと計算のあまりの遅さに「これはヤバイ…」と思い始めて,数学の問題を解きはじめました。因数分解とか。二次方程式を解くとか。関数とか,数列とか。まぁ,有り体に言えば脳トレです。だからなんだという話です。メリークリスマス!(唐突に)

*1:そして,大概の本には関孝和は名前の割に(といったら失礼かもしれませんが),その実際のところがあまりはっきり伝わっていない旨の記述があります。