最近5年間の国内の高校卒業後の進路状況のうち,就職者数と就職率を調べる方法はありますか。

ちょっと間があいてしまいましたが,前回,前々回と同様に,基本的なレファレンスブックを用いて,どんなレファレンス質問に回答できるかを見ていきたいと思います。
今回の資料は『日本統計年鑑』です。
そのタイトルの示す通り,日本に関する統計資料の年鑑です。特定の統計というよりは広範囲の統計を収録しています。漠然と「○○に関する統計がないかな…?」と調べていくのに適しています。
このレファレンス質問では,高校卒業後の進路状況を調べています。
回答を引用します。

『日本統計年鑑』 第50回 平成13年の「事項索引」を引くと,「高等学校-卒業後の状況」などから,平成7,9〜11年次の各数値がわかります。出典の『学校基本調査報告書初等中等教育機関専修学校各種学校編』平成12年度にあたると,平成11,12年の各数値のほか,就職率については,巻末の「参考資料・年次統計」に昭和25〜平成12年の数値が収録されています。また文部省関係の主な統計を集めた『文部統計要覧』平成13年版にも,平成8〜12年,5年間の就職者数と就職率が収録されています。
『日本統計年鑑』(年刊)は,国内の主要な統計表を網羅しており,巻末の「事項索引」(関係用語の50音順)から,さまざまな収録統計表を検索することができます。
統計を調べるには,『統計調査総覧』『統計情報インデックス』 『データ&DATA』などのガイドブックが多数あります。また,インターネットの,総務省統計局統計センターの 「統計情報インデックス検索システム」 なども参考にされてはいかがでしょうか。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000001862

回答に至る大きな流れとしては,『日本統計年鑑』の索引を用いて該当する統計表にあたり,出典の統計を参照し必要に応じて提供する資料のバリエーションを広げていく,というものです。『日本統計年鑑』はいろいろな統計を収載している資料ですので,より詳細な統計表を入手する場合は,出典元の統計にあたるというのは定石といえます。この時点で,ある程度の数値を入手できました。
さらに,もう一段階すすんで,高校生の卒業後の進路状況ということで,この分野の施策を行う文部科学省厚生労働省に関係する資料を提供しています。このあたりは,自然な発想ですので,問題なく資料にたどりつくかと思います。
統計資料は各館の蔵書規模に応じてどれくらい所蔵しているかまちまちなものです。この『日本統計年鑑』のような広範囲の主題を取り扱っている資料が1冊でもあると,調査の取り掛かりにとても有用です。
このプロセスに載っている参考資料はいずれ取り上げて記事にしたいと思っていますが,インターネットで利用できる総務省統計局の「統計情報インデックス検索システム」ですが,現在は

として公開されています。
この事例を試してみると,左上「統計データを探す」の「キーワードで探す」のキーワードとして「就職率」をセットして検索すると,「学校基本調査」と「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」がヒットしました。学校基本調査をたどっていくと,エクセルファイルで,「2008年年次報告-就職率(昭和25年〜)」が得られました。かなり便利です。
この事例の最後の段に書かれていますが,統計を調べるためのガイドブックは多数あります。すべてを使いこなすのはなかなか難しいにしても,レファレンスライブラリアンとしては,一つずつ使い方を覚える必要があるといえます。また,その地域の行政統計の在り処についても,しっかり確認しておきたいものです。地域の情報は地域の図書館がそのアクセスを担っているともいえます。首長部局が用意している行政情報センターのような部署に,どんな資料があるか,さらに,どのような施策をどのような部署で行い,成果物がどのような形で公表されているか,など常にアンテナを張っておくことが必要です。一見地味な作業なのですが,とても重要ですよね。
統計調査は実際のレファレンスで頻度の高いものだという実感があります。自館の所蔵資料でどんなことを調べられるのか,時間を見つけて予めチェックしておくとよりよいレファレンスサービスにつながると思います。