オーストラリアのメルボルンの気候(気温や相対湿度など)を知りたい。

『理科年表』という本があります。自然科学系のデータを広範囲にわたって収録しているデータ集です。戦前から発行され,今も刊行が続いているものです。詳しくは,「理科年表オフィシャルサイト/理科年表とは」を読んでください。レファレンスの中に位置づけるとしたら,自然科学系のレファレンスにおいてまず参照すべき資料の一つと言えるでしょう。
今回とりあげる事例でも,『理科年表』を用いて回答しています。日本であるか否かにかかわらず特定地域,特定都市についての気候について調査したいときもやはり,『理科年表』が有効です。定番のレファレンスブックをどういう風に使っているか,という点に注目しながら,回答を見ていきます。

・『理科年表 机上版  2009年 (82冊) 』(丸善株式会社 2009)
こちらの資料には、世界の気象についてのデータが掲載されており、メルボルン(Melbourne)についても、気温、降水量の月別平均値を知ることができます。
 
相対湿度については『理科年表』には掲載されていませんので、次のデータベースをご紹介します。
・「weatherbase」(http://www.weatherbase.com/)(2009.03.12確認)
このデータベースからは、全世界16,439都市の月別気象統計データを調べることができます。
 
「weatherbase」の詳しい使い方使い方は以下のサイトを参照ください。
 
国立国会図書館 テーマ別調べ方案内 
世界各地の月別気象統計データを調べる − Weatherbase
http://www.ndl.go.jp/jp/data/theme/theme_honbun_400239.html(2009.03.12確認)

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000054768

レファレンス質問から,メルボルンの気候を知るためのデータを提供できればよいということをまず確認しておきます。これは「気候」という単語が非常に広範囲の意味を持っていることによります。調べるときにはより具体的な,この場合は「気温」「相対湿度」というデータとして存在しうる事柄に変換してアプローチする事が肝要です。このあたり,実際のレファレンスでは,レファレンスインタビューというプロセスできちんと経る必要があります。
『理科年表』は,暦部・天文部・気象部・物理/化学部・地学部・生物部・環境部に大きく編立てされており,気候に関するデータは通常「気象部」を当たっていくことになります。
ということで,メルボルンの気候については,世界各都市の気候のデータが載っていますので,気温や降水量についてはデータの入手ができました。
さて,問題は『理科年表』に載っていないデータをどうやって入手しようか,という点です。
ここで,この事例では「Weatherbase」というデータベースを紹介しています。インターネット上で無料で利用できるデータベースですが,これに「Melbourne」をキーに検索し,オーストラリアのメルボルンのデータを表示させます。データの表示には簡易表示(Summary)と詳細表示(All data)の2種類あり,相対湿度は「Relative Humidity」ですから,該当する表から,メルボルンの相対湿度についてのデータを入手できます。
それほど難しい英語ではありませんが,それでも,「英語はちょっと……」と思う場合も無いわけではありません。そんなときには「リサーチ・ナビ」です。この事例では「世界各地の月別気象統計データを調べる − Weatherbase」というテーマ別調べ方案内を紹介していますが,テーマ別調べ方案内は,リサーチ・ナビに統合されています。この調べ方案内には

からアクセスできます。この調べ方案内にはWeatherの使い方や用語の解説が掲載されており,しかも,簡単な調べ方の具体例も合わせて掲載されています。注意すべき点についてもまとめられており,とても有用な解説です。英語が苦手でも大丈夫ですね!
この事例にあるような気象データに関する調査では,ともすれば『理科年表』をみて,得られる情報のみを提供してしまいがちですが,それだけではなく,もう一声,インターネットでも得られるデータも紹介することができれば,よりよいレファレンス回答となると思います。
この事例では,両方をうまく合わせて回答しています。これは本当に素晴らしいものですよね。