『学校基本調査報告書』(文部省大臣官房調査統計課)は昭和26年より刊行となっているが、これ以前のこの報告書に該当する出版物はあるか。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000014437

当館所蔵の『学校基本調査報告書』(昭和26年度)の「はしがき」によれば、昭和26年以前は『文部省年報』に統計を掲載していました。『文部省年報 79』(昭和26年度)の例言にも「昭和26年度以降は『学校基本調査報告書』を別に刊行することにした」とあります。
(…中略…)
『学校基本調査報告書』(26年度)の「はしがき」は以下のとおりです。
「学校基本調査は従来全国集計の結果全部を文部省年報の当該年度分のうちに掲載し、別にこの調査の報告書は刊行しないことを例としていた。/文部省年報は元来文部省所管の統計調査の全部をとりまとめた文部省における統計調査の年次報告書であって、最近掲載内容の増大と編集上の都合によって、学校基本調査の結果全部の掲載を困難とするに至った。/従って、昭和26年度より学校基本調査報告書を刊行し、この調査のすべてを網羅するとともに利用上の便を図ることとした。」

図書館には本があります。
当たり前なんですが,大事なところです。
ずっと昔に出版された本があります。
今出版されている本もいずれ「昔出版された本」になるんです。
当たり前なんですが,大事なところです。
過去の統計がほしくなるときはレポートを作成したり,資料をまとめたりする際に必要になります。しかも結構な頻度で必要になります(なりませんか?)。最新の,あるいは直近数年分程度なら,各統計作成機関のWebサイトに載っていることが多いです。官庁統計はもちろん,各種業界団体の統計などもネット上で入手できることが多くなりました。すばらしいことだと思います。
だが,しかし。それ以前の統計が必要になった場合にやっぱり図書館が役に立ちます。過去の統計報告書をさかのぼってデータを入手することができます。
この事例にあるのは学校基本調査ですが,これも相当程度古い時期からある統計です。項目はどんどん新しく追加されているので,項目によっては,ここ10年程度の数値しか手に入らないものもあります。ですが,各都道府県の学校数などはずーっと前の数値も,この学校基本調査報告書をさかのぼっていくと調べられます。
学校基本調査はこの事例があることによって,昭和26年以前の統計は「文部省年報」をさかのぼって調べればよい,ということがわかります。
余談ですが,「文部省年報」は昔のものも復刻されています。都道府県立図書館では所蔵していることが多いのではないかと思います。図書じゃなくて継続資料(いわゆる雑誌)として整理されているかもしれません。OPACを検索するときは注意が必要です。
統計は独立した報告書の形で刊行されることが多いのですが,この事例のように,途中から独立した刊行物になったり,あるいは報告書の名前が微妙に変わってしまったりすると,同じ統計なのだが,さかのぼれなくなることがたまにあります。
経験上,統計について受けるレファレンスは結構な頻度です。いつから始まって,どこにデータが掲載されているから,なにを見ればよい,というのがわかる事例は大歓迎です!