沖縄で、「ブクブク」とか「ブクブクジャー」と呼ばれている飲み物について知りたい。 掲載資料が見つかるまでの調査のプロセスも、教えてほしい。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000013455
沖縄! 沖縄! おきなわー! nachumeは沖縄が好きです! 沖縄のお茶といえばさんぴん茶! いくら飛行機があるとはいっても気軽に行けるところではないのですが,だからこそ,沖縄に行くと本当に気分転換になるんですよね。
閑話休題。今回の事例は沖縄のお茶。

1 「ブクブク」「ブクブクジャー」「沖縄」「お茶」に関する基本的な参考図書として、資料1〜4を調査。
資料1:「ぶくぶく」の項目に「ぶくぶくう・ぶくぶくじゃあ〔―茶〕沖縄県首里」の記載あり。
資料3:「ぶくぶく茶」の項目あり。「茶を泡立てたもの。(中略)煎米茶と湯茶を大きな茶せんでぶくぶく泡立てて飲む」。
資料4:「ブクブク茶」の項目あり。参考文献も1件あり。
2 都立図書館の蔵書検索。タイトル「ブクブク」×分類[791*」で資料5がヒットする。82pの小冊子ながら、詳細に渡って記述されている。巻末には、48件の参考文献もあげられているので、更に細かく調査する際の手がかりになる。

せっかくなので,参考資料も見てみましょう。

【資料1】 日本国語大辞典 第11巻 はん-ほうへ / 小学館国語辞典編集部‖編集 . 第2版 / 小学館 , 2001.11 R/813.1/5020/11
【資料2】 沖縄語辞典 / 国立国語研究所‖編 / 大蔵省印刷局 , 1963 ( 国立国語研究所資料集 5 ) R/8189/11/63
【資料3】 沖縄大百科事典 下 / 沖縄大百科事典刊行事務局‖編集 / 沖縄タイムス社 , 1983 R/2919/329/3
【資料4】 角川茶道大事典 本編 / 林屋辰三郎‖ほか編集 / 角川書店 , 1990.5 R/7910/3019/1
【資料5】 ブクブク-茶 : 豊かな泡を飲む / 安次富順子‖著 / ニライ社 , 1992.6 /7910/3033/92

ブクブクーについての事例です。回答にあるように,ブクブクーについてはいろんな言い方がありますね。
この事例では,調査の過程も知りたいと質問事項にかかれています。それに対応する回答が,蔵書検索でタイトルと分類の掛け合わせを行い,安次富順子氏の資料を探しだしたプロセスがわかります。

この探し方には,蔵書検索のコツがさりげなく見受けられます。
まずは,タイトルと分類の掛け合わせ。通常蔵書検索にあたって検索結果を絞ろうとする場合,タイトルに複数の語を入れたくなります。ところが,タイトルに複数の語を入れ,絞り込んでしまうと,あまりに絞り込みすぎる結果が生まれます。タイトルは目録の中の非常に重要ではあるが,主題アクセスにタイトルのみを使うのはあまりよくありません。検索漏れが生じます。主題アクセスの時はタイトル,件名,分類をうまく掛け合わせて検索した方が検索漏れが少なくなります。
そして,「791*」という分類検索のキーワード。「*」がポイントです。これは*の部分が任意であることを意味し,結果「791」でも「7912」でも「791234」でもヒットします。これをトランケーション*1と言います。図書館の世界では主題に対して数値が与えられています。この「791」は主題が「茶道」であるものに与えられる数値です。791で始まる分類は必ず茶道に関係があります。従って,茶道に関する資料を網羅的に調べるときには「791」で始まる分類を検索しなければなりません。分類に「791」として検索すると「791.5」は検索されない可能性があります*2。それを防ぐために「791*」とトランケーションを指定した検索を行っているのです。わかっている人には当たり前なのですが,知っておいて損はない検索のコツです。
資料5にあげられた冊子には参考文献があげられているので,調査の手がかりになると回答されています。このように,参考文献が充実した資料に巡り会うと嬉しいですね。とっかかりさえつかめば,質問者自身でも調べることができるようになります*3。こういう資料の紹介の仕方はすばらしいですね!

この事例をほめていたら沖縄に行きたくなりました。今はいい時期ですよねぇ。春の行楽シーズンには少し早いですし。休みたいなー! 沖縄に行きたいなー! (もはやレファレンス事例と何の関係もない……)。

*1:トランケート=truncate : 切り詰める,切り捨てるの意味。トランケーションは語尾活用などに対応するために使われます。「truncat*」とすれば「truncate」も「truncation」もヒットします。

*2:このあたりは検索システムによってまちまちです。トランケーションをつけなくても,トランケーションをつけたのと同義の検索を行うシステムもあります。使うシステムの仕様をよく見ないといけません。トランケーションも「*」とは限らず「@」だったり「?」だったりいろいろあるので,検索の前に必ずヘルプを見るクセをつけた方がいいです。特にはじめて使う検索システムだったらヘルプやマニュアルを読むのは必須です

*3:レファレンス・ライブラリアンは事実を調べたり,研究を行ったりするのではありません。あくまで,事実を調べるための資料や,研究に必要な文献の提供までがレファレンスです。そのあたりが誤解されているような場面にnachumeもしばしば出くわすのですが,レファレンスとしてできることとできないことは,質問者もレファレンス・ライブラリアンも押さえておかなくてはなりません。