「下手でいい、いや下手がいい。」という文をどこかで見たがその出典を知りたい。相田みつをの本かもしれない。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000031041
カウンターに「多分アレだと思うんだけど,どれをみても載ってないんだよ」という質問を持ってくる方が,よくいらっしゃいます。今日はそんな事例を一つご紹介。回答プロセスを引用します。

自館所蔵の相田みつをの著作にあたる。『一生感動一生青春』『いちずに一本道いちずに一ツ事』『雨の日には』『大事なこと』『相田みつを心の詩 1-3』ほかに記載なし。
インターネット《Yahoo!》にて質問中の文を検索すると、絵手紙の項目に小池邦夫氏が提唱したものという記述あり。『はじめての絵手紙』(小池邦夫編著)で確認すると、「ヘタでいい、ヘタがいい」の言葉あり。また、自館未所蔵だが「小池邦夫の絵手紙入門 ヘタでいい、ヘタがいい」(小池邦夫 雄鶏社 1997)、「心を贈る絵手紙の本 ヘタでいい、ヘタがいい」

質問者が相田みつをを言っている以上,相田みつをの著書を調べてみるというのは第一歩です。この段階ではレファレンス・ライブラリアンは,「ヘタでいい〜〜」を知らなくても,「あー,確かに相田みつをっぽいなー」と探すことでしょう。ところが見つからなくて,だんだん違うんじゃないか,と思いはじめます。
違うな,と思ったときにこの事例ではインターネットで検索をしています。すると,どうも小池氏がそういうことを言っているらしい記述に出会い,実際に小池邦夫氏の著書にあたると,はたして「ヘタでいい,ヘタがいい」に無事たどり着きました。
少し事例から離れますが,インターネットの情報は捨てたものじゃありません。うまく利用することが大事です。ネット上には,信頼の置ける情報も,あまり信頼の置けない情報もあります。繰り返します。うまく利用することが大事です。情報リテラシーということが昨今取り上げられていますが,本当にこれは大事なことです。もちろん,本の情報でも同じです。どの程度信頼の置ける資料なのか,はメディアが何であろうと見なくてはいけないポイントです。
よもや本対インターネットという単純な二項対立で情報について語る人はいないと思いますが,ネットであろうと本であろうと,そこに掲載されている情報をいかに読むかという点が非常に重要なのです。
この事例は,ネット検索を上手に使っています。かなりスピーディに回答にたどり着いたのではないでしょうか。「ヘタでいい」をタイトルに入れて検索してみたらもっと早かったかもしれませんが,普通誰かの言葉らしいものをいきなりタイトルに入れて検索する発想はないでしょう。
最初の思いこみを疑う,ということも時には必要です。
何事もそうですよね。ちょっと行き詰まったなと思ったら,発想を変えてみる,違う側面から見てみるということが大事ですね!