年賀状を出す意味、なぜ出すようになったのかを調べたい。

本日3月9日に登録された事例から。事例作成が2007/2/20ですから,およそ2週間前のレファレンス事例です。
回答と参考資料を引用します。

【資料1】で「年賀状」を調べると、「平安のころより明治の初めまで、正月には…年始の挨拶をする習わしであった。これが、郵便が簡便に送れるようになってからしだいに流行し、現在の年賀状の形となった」とあります。生活文化の観点から調べましたが、【資料2】には、明治時代からの習わしである年賀状のことは書かれていません。事物起源事典をいろいろと見ていったところ、【資料3】に「明治三年十月二十三日の太政官令で新年賀詞の書式を示した」として、書式が書かれ、明治十二、三年以後、盛んになった恭賀新年のはがきの起源としているとあります。NDL-OPAC雑誌記事索引検索で「年賀状*歴史」を調べると、以下の雑誌記事が2件ありました。【資料4】のp19−21「年賀状と年始の客」の記事によると、「二百年以上も前になると…年始の挨拶に来た客に主人が留守ではまずいといった事情は、書状の場合には見られない。年賀状の時代は、年始に出かけると年始に来た客に失礼してしまうというディレンマからひとを解放したのであった。」とあります。また、【資料5】のp22-27「日本の年始に欠かせない年賀状−その変遷をたどって」にも同様の記載があります。
参考資料
資料1『日本大百科全書 18』小学館,1987│1105305806
資料2『生活文化歳事史 第1巻』東京書籍,1990│1105597961
資料3『明治事物起源 上 改訂増補』春陽堂,1944
資料4『日本歴史』632号│Z210/ニ
資料5『総務省広報誌』12号│Z317/36

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000033830

これのどこがほめポイントかというと,やはり資料4と5を提供していることと言えるでしょう。
年賀状について調べようというと,まずは資料1や3にあげられていますが,百科全書や事物起源の類をあたります。至極まっとうな手順です。
普通なら,ここで終わってしまうかもしれません。質問者も,これでいいよ,と言ってくれるかもしれません。
でも,この事例ではさらに,NDL-OPACから雑誌記事索引を引いています。すると,意外なところにあるものですね。『総務省広報誌』て知ってます? nachumeは雑誌が大好きなので,もちろん知っています。「総務省」と達筆な文字が毎号目立っている雑誌です。
行政官庁の編集(あるいは編集協力)している雑誌はなかなか面白いんですよ。海上保安庁の「かいほジャーナル」や防衛庁の「セキュリタリアン」*1などなど。意外なところに濃い情報があるのです。普段は気付きませんが,いざという時に役に立ちます。雑誌(継続資料)には底力があるんですよね。
レファレンスをするときに,「あ,これだな」と思っても,雑誌記事も念のため引いて提供できる情報はないかと検討する姿勢がすばらしいです。
レファレンスに雑誌情報を活用しよう! nachumeは雑誌を使ったレファレンスを応援しています!

*1:セキュリタリアンは2006年9月で休刊してます。萌え路線にシフトしていま……す? → http://www.bk.dfma.or.jp/~sec/