アメリカの政権(大統領)が変わるとき官僚上層部はほぼ入れ替えになる。この制度について知りたい。

今回も選挙に無理矢理絡めて事例を紹介しようと思います。
こちらの事例はアメリカ大統領と行政組織の幹部人事についての質問です。知っている人は知っていると思いますが,この質問の通り,アメリカでは大統領がかわると行政組織の幹部も入れ替えが行われます。
このことは,百科事典や政治学事典,行政学史などいろいろな資料に載っているでしょう。このような質問には,どんな資料を提供したかというのも大事なのですが,もっと大事なのは,どうやったら素早く資料提供ができるか,という所でしょう。検索戦略の立て方が重要です。
回答プロセスを見ていきましょう。

1 アメリカの政治、大統領関係の資料を見る。
2 『比較行政制度論』に官僚の選び方について記述あり。
3 『アメリカ行政の理論と実践』にはアメリカ連邦公務員制度について記述あり。
4 古いが『米国公務員制度の研究』あり。
5 他に、アメリカの議会制度については『アメリ連邦議会』、『米国議会と大統領選挙』、『米国の大統領と国政選挙』などがある。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000024475

まず,「アメリカの政治,大統領関係の資料」にあたったのち,『比較行政制度論』や『アメリカ行政の理論と実践』を見つけています。政治や行政あたりでしょうか。きっと書架ブラウジングで見つけた資料だと思います。OPACなどで検索するより,これくらいなら書架の当たりをつけて探した方がきっと早く見つかると思います。多分,この事例を担当した方も,そうだと思います。
資料検索の戦略作成時に一番問題なのは何をキーワードとして扱うかという所です。この場合はもちろん,「アメリカ」「官僚制」などがすぐに考えられます。
レファ協の事例にはキーワードが付与されているものがあります。
この事例のキーワードを引用してみましょう。

アメリカ合衆国 官僚制 連邦公務員制度

3つのキーワードが登録されています。先の「アメリカ合衆国」「官僚制」のほか,「連邦公務員制度」というのがキーワードにあげられています。政治学事典の類もこのような語を見出しから,あるいは索引から探すことになると思います。
このように,質問文には含まれないけれども,そのレファレンスにあたって必要なキーワードがつけられていると,レファ協の品質がより良くなると思います。質問文や回答文に含まれないが,キーワードとして必要なものはどんどん付与していただけるとありがたいですね*1
せっかくなので,nachumeも勝手にキーワードを追加してみます。「スポイルズシステム」「猟官制」などはいかがでしょう?

*1:キーワードをレファ協の参加者(事業参加館ももちろんですが,一般利用者も含めた参加者)がキーワードの付与が可能だとより面白いと思います。