円周率の桁が掲載されている資料を探す

今回はがらっと方向をかえて自然科学分野から。数学です。円周率です。でも,ここはレファレンス事例をほめまくるので,あくまで主題はレファレンスです。
レファレンスは何度も言うように原義は「参照」です。解を求めるのではありません。円周率を知りたいという利用者には円周率が載っている資料を提供するのがレファレンスです。
レファ協を「円周率」で簡易検索すると,事例で3件ヒットします(2007/03/29現在)。事例作成日の新しい順に,立川市中央図書館から。

<質問>
円周率の桁数ができるだけ多く載っている資料は?
<回答>
『パイのはなし』(金田康正著 東京図書 1991 414)に、10億ケタまで表示あり。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000028406

次に,愛知芸術文化センター愛知県図書館。

<質問>
円周率が、小数点以下5,000桁程度までわかる資料を。
<回答>
『πのはなし』(東京図書 1991)、『パソコンで挑む円周率』(講談社 1991)を紹介しました。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000028073

そして,香川県立図書館。

<質問>
π(円周率)が小数点以下なるべくたくさん見られる資料
<回答>
下記資料に小さく見辛い文字だが100万桁まで記載がある。
・πの神秘 デビッド・ブラットナー/著 アーティストハウス 1999.7

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000004176

前回取り上げた選挙年齢の事例*1よりも,提供する資料は似通っています。『πのはなし』(金田康正. -- 東京図書, 1991.4)は,2度登場しています。
どれも,回答プロセスが書かれていないので,なんとも言えませんが,書架ブラウジングで見つけた資料だと思います。円周率を主題に扱ったは資料は,NDC9版では「414.12」が割り当てられることが多いので,そのあたりの棚を見ていくことになるでしょう。小数点以下を省いた「414」は幾何学ですから,書架見出しは幾何学となっているかもしれません。
いずれにせよ,OPACだけではなかなかたどり着くのが難しいと思います。検索語に「円周率」は思いつくとしても,円周率の桁数がどれくらいかについてはキーワード化はしにくいのではないでしょうか。それよりも,まず書架に行ってみる,というやり方。ともすれば電算化された目録で,「あーでもない。こーでもない」とキーワードを変えながら検索しがちなこの頃,書架ブラウジングという手法も捨てたものじゃないのです。
このような質問に,パッと資料提供ができると,レファレンス・ライブラリアンの本領発揮と言えるでしょう。