『週刊文春』の2000年9月発行分に、沖縄サミットの晩餐会のメニューが載っていないか。「国立国会図書館雑誌記事索引」を検索しても、ヒットしなかったので調べてほしい。

今回も「大宅壮一文庫雑誌記事索引」を効果的に使った事例を取り上げます。
回答を見ていきます。

週刊文春・総目次』で2000年9月分を見るがなし。
週刊誌、総合誌からの記事を採録した「大宅壮一文庫雑誌記事索引CD-ROM版」を<沖縄サミット×晩餐会>で検索する。その結果、
資料1:『文藝春秋』 78巻11号(2000年9月) p.134-141 「サミット『晩餐会』てんやわんや」
資料2:『FORESIGHT』 11巻8号(2000年8月) p.84 「饗宴外交の舞台裏・晩餐会の演出だけは一流だった沖縄サミット」
にメニューが載っている。
また、インターネットの検索エンジン[Google]を<沖縄サミット×晩餐会×メニュー>で検索したところ、資料3の情報を得た。
資料3:『月刊専門料理』 35巻10号(2000年10月)のトピックに「2000年沖縄サミット首脳晩餐会の料理、全容公開」として、p.81-85に料理のカラー写真 p.114-116に各メニューの解説が掲載されている。
国立国会図書館雑誌記事索引」は主として学術雑誌の記事を採録したデ−タベースだが、1990年代半ばから週刊誌の記事も採録されている。後日、<沖縄サミット×晩餐会>や<晩餐会×メニュー>等で検索したが、0件。<サミット×晩餐会>で、資料1の1件がヒットした。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000013562

質問者は『週刊文春』を調べてほしいということで,雑誌を指定しています。ということは,まずなにをさておき,『週刊文春』を見てみるというのが第一歩です。
この事例ではまず『週刊文春』の総目次を見ています。
現物を見ても,1か月分ならそれほど多くはないのでいいのですが,これが数か月分,数年分ともなると膨大な量になるため,現物を見るのは得策ではありません。そういう時は「総目次」とか「総索引」などを使うのが一般的です。雑誌によっては1年分の総目次を年末に載せるものもあり,非常に便利なのですが,週刊文春にはそういう総目次はついていません。では,この事例の総目次は何を見たのかというと,この事例提供館である東京都立図書館がつくった目次だと思います*1。このような雑誌の目次集はかなり有効なレファレンスツールとなります。
で,結局見つからなかったようです。とすると,疑うべきはどこでしょうか? 「2000年9月」か『週刊文春』のどちらかです。敢えて言う必要も無いのですが,レファレンスでインタビューをする際,相手の求めている主題や資料を的確につかむことと,質問にあたって相手がもっている情報を整理することが大事になってきます。
もちろん,レファレンスを担当するライブラリアンは2000年9月を見て,無ければ前後を調べるに違いありません。九州・沖縄サミットは7月でしたので,大体その前後あたりから,数か月分の目次をみて,記事がないと言うと思います。逆に,利用者の言った9月分のみをみて「ありません」などと答えてはいけません。
それで見つからないとなると,次は「週刊文春」ではないのではないか,と疑います。ここで,立ち返るべきは利用者の求めるものは「沖縄サミットの晩餐会のメニュー」です。「『週刊文春』には無かったが「○○」には載っていた」という回答も十分に成り立つのです。
ここで,調査に使ったのが「大宅壮一文庫雑誌記事索引」です。前回も書いたように,この記事索引は,週刊誌や総合誌などを中心に索引が採録されています。学術情報中心の国立国会図書館雑誌記事索引より,質問者の求めている主題に近い記事があると考えられます*2。この戦略は正しくて,晩餐会のメニューが載っている『文藝春秋』と『FORESIGHT』を提供することができました。質問者の方はきっと『文藝春秋』と『週刊文春』を記憶違いしていたのだと思いますが,無事資料にたどり着くことができました。なにかほしい資料があったら,聞いてみるものですよ。多少記憶違いであっても,なんとか探してくれます。逆に言うと,レファレンス・ライブラリアンは,利用者の求める資料をなんとか推測して提供しないといけません(あまりにとんちんかんな質問はどうしようも無いのですが……)。
ここで,レファレンスの回答としては終わりです。ただ,後日google検索したら,もう一つ資料を見つけたというので,追記しています。これは,似たような事例が次に来たときに役に立ちますので,ぜひ書けるなら書いておいてほしいと思います。でも,こういう風に後日見つけた資料というのは,その場で提供できなかった悔しさも伴っているのですよね。この事例が誰かの役に立つことがあれば,十分報われると思います。ぜひ,この事例を活かせる場面がどこかの図書館(でなくてもいいのですが)にあるといいな,と思います!

*1:東京都立図書館のOPACで「週刊文春」を引くと「総目次注記: 目次コピー集あり」とあります。

*2:もっとも,最近の雑誌記事索引では,一部の週刊誌も索引が採録されています。そのあたりは,雑誌記事索引について|国立国会図書館―National Diet Library を参照。