ピンホ−ルカメラの作り方。小学生が作るのに実際に現像から焼き付けまでする方法。時間やコストはどれくらいかかるか(大人が読んで子供に教える)。

今回のレファレンス事例で提供された資料の一つに「たくさんのふしぎ」という雑誌があります。これが非常に思い出深いのですが,これについては,後半で。
レファレンスに話を戻しますと,公共図書館だとカメラについて質問を受けることはそうめずらしいことではありません。nachumeは昔のカメラの載っている資料はないか,とかライカについて書いてある資料はないかなどという質問を受けたことが何度かあります。
そうは言っても「カメラを作りたい」というのはあまり予想していない質問だと思います。レファレンスの回答として,どんな資料が提供できるでしょうか? 今回は児童書をうまく使うという点で非常にすばらしいものです。
回答と回答プロセスを見ていきます。

<回答>
『写真大百科事典』p68〈ピンホ−ルカメラ〉の項などがあり。「カメラをつくる」(『月刊たくさんのふしぎ』1987年1月号)に作り方があり、これらを提供する。

<回答プロセス>
自館目録の『彩−BISC』『OPAC』とも書名〈ピンホ−ルカメラ〉なし。
『J-BISC』で書名から〈ピンホ−ルカメラ〉で2件あり。
「ピンホ−ルカメラは楽し!誰でも写せる“針穴写真”入門」(風媒社 1997)「Pinhole 凝視するピンホ−ルカメラの世界」(日本カメラ社 1987)。『写真大百科事典』p68〈ピンホ−ルカメラ〉の項、p71カートリッジ式ピンホ−ルカメラの作り方の図、p73現像とプリントについて簡単な説明あり。
子ど室では『カメラをつくる』(月刊たくさんのふしぎ)に作り方があり、提供する。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000018243

作成したのは99年ですので,少し前の事例ですね。『彩-BISC』は埼玉県立図書館の蔵書目録です。自館目録や国立国会図書館の目録から「ピンホールカメラ」をキーワードに検索するという最初の手順は基本です。
今回は質問が「ピンホールカメラをつくりたい」ですので検索に用いるキーワードが「ピンホールカメラ」であることはすぐにわかりますが,単に「カメラをつくりたい」という質問から「ピンホールカメラ」というキーワードにたどり着くでしょうか。レファレンス・ライブラリアンとしてはすぐに,辿り着いてほしいのですが,難しいでしょうか。写真に関する百科事典の類にも載っているので,手順を踏めば辿り着くと思います。
ここまでが,一般的な手順で資料を探すものです。最終段の「子ど室」は「子ども室」だと思いますが,『たくさんのふしぎ』から「カメラをつくる」号を提供しています。
願わくば,回答プロセスにどうやって「カメラをつくる」に辿り着いたのか知りたいところです。レファレンス・ライブラリアンの記憶でしょうか。児童書に関しては担当者の記憶という非常に強い武器があります。
ちなみに,一般的な探し方としては,国際子ども図書館の児童書総合目録検索をつかう方法があります。ここから,児童書総合目録で,キーワード検索でタイトルかあらすじに「ピンホールカメラ」と入れたり,「カメラ」といれたりしながら探していくといいでしょう。

検索オプションに「逐次刊行物/雑誌記事索引」とありますが,これだけをオンにして探してみるクセをつけるといいでしょう。というのも,『たくさんのふしぎ』もそうなのですが,いわゆる本ではなく雑誌に属するものでも,毎号固有のタイトルや著者,内容を持っている資料があります。本だけを対象に資料を探すと見つからないものも,この「逐次刊行物/雑誌記事索引」をチェックすると案外見つかることもあるのです。「和図書」にチェックが入っていると「カメラ」のような一般的な言葉にはたくさんの資料がヒットしますので絞り込みにくいのでそれ以外のチェックをはずしています。
事例に戻って,質問は「小学生が作る」「親が読んで子供に教える」ですから,質問にも合致した資料です。ここでは定評ある雑誌の紹介もできました。レファレンスは質問者のニーズに合わせて資料を提供するのです。