女性団体で、収益事業を行っている事例について、全国的に調査したものがあるか。

特定分野に強いデータベースを知っておくことは,レファレンスを担当するライブラリアンにとって必要なことです。
今回紹介するのは,ご存じの方も多いと思いますが,国立女性教育会館提供のデータベースです。まずは,回答とプロセスを。

<回答>
『市民活動レポート : 市民活動団体基本調査報告書』財務省印刷局(2001年)に、女性団体ではないが、男女共同参画を活動分野としている団体と事業収入の内容のクロス集計がある。

<回答プロセス>
国立女性教育会館女性情報ポータル“Winet”(http://winet.nwec.jp/)「文献情報データベース」で、図書を「団体 調査」で検索。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000028726

普通の公共図書館や,大学図書館などで,この質問を受けたときに,最初に検索戦略を考えるときに,このWinetを思い出して,文献情報をあたってみようと思えたらなかなかのものですが,さすがにそう単純に戦略を立てることは難しいだろうと思います。Winetについては知っている人は知っている,という当たり前ながら悩ましい命題にぶつかってしまうのではないかと考えられるからです。
通常知られた手順でもこの資料に行き当たることはできるでしょう。例えば,NDL-OPAC にてタイトル「団体 調査」,著者・編者「内閣府」と入れると辿り着きます。国が男女共同参画事業を総合的に企画調整しているのは内閣府です。単に「団体 調査」だけでは絞り込めないこともありますが,事業の主管がどの行政組織かということを覚えておくと非常に検索がスムースになります。主な事業の主管省庁と,公共図書館であれば(大学図書館でもそうですが)その自治体の主たる事業の主管部局は,レファレンス・ライブラリアンとして押さえておいた方がいい項目です。ビジネス支援を掲げている図書館も多いことでしょうし,庁内向けレファレンスサービスを掲げて実践している図書館も多いでしょう。図書館は地域情報を提供する機能を必然的に有しているのですから,その自治体の組織・事業についても最低限すぐに回答できるようになるべきです。
すこし話がそれましたが,この事例から学ぶべきは,NDL-OPACを使っても,書架ブラウジングでも,どうにか求める資料の提供はできると思いますが,Winetを使うともっと素早く資料に辿り着くことができる,というものです。
これはWinetが特定分野(この場合は当然女性学関係)に強いデータベースだからです。
特定分野に強いデータベースというのは,

  • 収録されたレコードの信頼がおける
  • 十分なレコード数を持つ

という条件を満たしていなくてはなりません。
質問を受けたときに,最初に検索戦略を考えるときに,このような特定分野に強いデータベースを知っておくことは,素早い回答ができ,結果的に利用者の時間を節約する(save the time of readers ; ランガナタンの図書館5原則の一つ)につながると言えるでしょう。
国立女性教育会館の提供事例はこのWinetを効果的に使っています。そのようなレファレンス事例をたくさん見ることによって,「なるほど,このデータベースはこうやって使うのか!」という具体的な使用例がさらなる利用の増加につながるのだと思います。
全国のレファレンス・ライブラリアンの皆さん! このデータベースは使いでがあると思いますよ。