八木英三編集『稗貫風土記』 第一巻 人物篇 昭和26年4月を探している。 『評伝宮沢賢治』 境忠一著 桜楓社 1968 p.60 に引用されている宮沢賢治に関する文献とのこと。

この事例は所蔵調査です。見つかるか見つからないか,というだけなのですが意外と苦労することがあるものです。

<回答>
花巻市立図書館に所蔵されていることが確認できた。また、岩手県立図書館、宮沢賢治記念館、 宮沢賢治イーハトーブ館にも所蔵があることがわかった。

<回答プロセス>
Webcat国立国会図書館などを検索したが、ノーヒット。宮沢賢治との関連で岩手県内の図書館に所蔵があるのではないかと思い、各図書館のOPACを検索した。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000014246

NDL-OPACとNACSIS-CATで書誌が確認できないと,ちょっと厄介かなーと思ってしまいます。というのも,NDL-OPACとNACSIS-CATは国立国会図書館の蔵書目録と学術機関の所蔵目録でありながら,それぞれ総合書誌としての性格をもっているため,両者の目録にない資料はごく一部にしか流通していない資料の可能性が高いので入手が困難であるという予想が立つからです。
でもどうにかして書誌事項をなんとかしなくてはなりません。こんな時には分野別の書誌を探してみるのがいいでしょう。この事例では 『宮沢賢治研究文献目録』*1 を用いています。ネットになくても,図書館には参考図書を置いているコーナーが多かれ少なかれありますので,利用してみましょう。実にさまざまな分野の書誌が出版されています。レファレンス・ライブラリアンは自館の参考書の中に,どのような書誌があるか把握しておく必要があるのです。
次に,書誌事項がある程度特定できた後,資料の所蔵機関を絞っていくか(アタリをつけるか)という点ですが,この事例にもあるように関係のある地方の図書館を探すという方法があります。また,人物に関する資料はその人物に関係する博物館なども視野に入れるべきでしょう(通常,関係の深い地方にあることが多いですが,出生地と活躍地が異なる場合は両方探す必要があります)。
宮沢賢治岩手県花巻にゆかりの人であることは有名ですから,岩手県内の図書館を探しています。花巻市立図書館の所蔵は当然といえば当然です。通常公立図書館の所蔵調査は都道府県立から市町村立へと探していくことがおおいのでうが,この事例作成の2005年当時は新館移転のため休館していましたので,市町村立図書館を探していったのでしょう。今でも市町村立図書館ではOPACをインターネットで公開していないところがありますので,なかなか探せなくて苦労することもあるかもしれません。願わくばすべての図書館がインターネットにOPACを公開し,いつでもどこからでも使えるようになって欲しいものです。
あっさりと書かれた回答プロセスですが,この事例に書かれた回答プロセスは大事ですし基本です。

*1:事例中に書かれたURIは現在変更されています。リンク先が現在の文献目録。