アトピー治療を専門にした病院を紹介した本はありますか。

書店に行くと,病院紹介の資料はランキング形式のものが何種類も平積みになっていることがあって,需要が多いのだと改めて気づかされます。
この事例ではアトピー治療の専門医を探したいようですが,病院を探すときはこのように病気から探すことが多いですよね。ところが,病気と診療科目の関係がわからなくて探せないなどということがよくあります。
なるべく一般の人が使いやすい索引や検索方法をとっている資料が図書館にあるとありがたいですね。そして,資料の内容は逐次改訂されることも必要です。回答時に資料を提示するときには注意しなくてはなりません。
回答と備考を引用します。

<回答>
『関東病院ランキング』(丹波幸一著,洋泉社)で,症状別に病院を紹介しています。
<備考>
コメントにて,疾患名から病院を探せるサイトの情報を頂きました。
(1)はアトピー性皮膚炎で検索すると,アトピー性皮膚炎を含むアレルギー性皮膚疾患に対応している病院が検索されます。
(2)ではアトピー性皮膚炎は疾患名一覧にありません。

(1)けんぽれん病院情報『ぽすぴたる!』 (http://www.kenporen-hios.com/
確認日: 2006.9.27)
提供者: 健康保険組合連合会
内容: 全国約9, 000の『病院』(20ベット以上ある保険医療機関)の情報を提供しています。診療案内、とりあつかっている疾患、病院の特徴(専門性や実績)、 インフォームド・コンセント/セカンド・オピニオン/専門医、施設基準対象の手術件数、長期療養・リハビリテーションの項目についてご覧になれます。

(2)『WAM NET』(ワムネット) (http://www.wam.go.jp/ 確認日: 2006.9.27)
提供者: 独立行政法人福祉医療機構
内容: “全国の介護保険障害福祉サービスの事業者や病院・診療所などの検索ができます。各種会議資料など行政関係資料も多数掲載しています。”

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000025395

ここで,提供したのはランキング形式の病院情報資料です。当然ながら,ランキングとはいえ,実際の医療サービスの良し悪しを保障する資料ではないので,注意が必要です。言われなくてもわかっていると思いますが。そして,なるべくこういった時には複数の資料を紹介したいものです。無いときは無理ですが,少なくとも何度も言っているように,どのような検索手段をとってどのような資料にあたったのかを同時に伝えたいものです。
もう少しこの事例を見ていきますと,備考欄にはインターネットで使える有用なデータベースが紹介されています。
健康保険組合連合会独立行政法人福祉医療機構のものですが,いずれのデータベースも信頼度は高いといえるでしょう。WAM NETでは,病院や診療所を探すときに,「体の部位から探す」「手術で探す」など多彩な検索手段が用意されています。また,「ほすぴたる!」では病院が対象のデータベースですが,「WAM NET」は,作成が福祉医療機構という名の通り,介護保険事業者や医療機関を両方探せますので,便利です。
図書館では,医療情報は一般に相談しにくいことの一つとされています。他人に病気のことなどを相談したくない,という傾向が強い分野であるとよく言われています。利用者がもとめる資料をなるべく自分でたどり着けるような環境をつくるというのも広義には医療情報提供です。各人の病気体験を集めた闘病記文庫の設置はその具体と言えましょう。利用者が資料へたどり着きやすい環境を作る,つまりセルフレファレンス可能な環境作りも図書館の情報提供機能にとっては常に意識すべき課題です。建物はすばらしいのに,中にはいるとどこになりがあるかよくわからなくて……という勿体ない図書館がたくさんあり,このような声にぜひとも耳を傾ける必要があるのです。
事例に戻って,備考欄には「コメントにて情報を頂いた」とあります。レファレンス協同データベースでは,事業参加館であれば事例にコメントすることができます。「こういう資料があるよ」とか「こんな資料にも載っていたよ」とか「ネットだとココで探せるよ」などの情報が書き込まれます。レファレンス協同データベースの相互支援機能の一つです。コメントは一般公開されていませんが,コメントが寄せられるとほとんど事例に反映されるため,実質的にどのようなコメントがあったのかわかりますし,その事例データの品質向上につながります。
たった1行の回答が,コメントにより情報源が増えています。これもレファレンス協同データベースの威力ですよね。