政治資金収支報告書が見たい。

今月29日投票予定の参議院選挙が公示されました。政治とお金にまつわるもろもろも話題になっていますので,そういった事例をご紹介。
しょっちゅうは聞かれませんが,nachumeは地域資料の担当をしているのですが,これと同じ問い合わせはたまにあります。
基本的には官報や公報,選挙管理委員会に行ってもらうのいずれかが手っ取り早い資料の入手方法だと思います。
回答と,回答プロセス,備考を引用します。

<回答>
総務大臣報告分は、官報平成18年9月8日付号外に定期公表分の要旨が掲載。またウェブサイトからも閲覧できる(政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書 http://www.seijishikin.soumu.go.jp/ 2007年3月確認)。
岐阜県船挙管理委員会報告分は、岐阜県公報平成18年9月20日号外に掲載。

<回答プロセス>
1 政治資金収支報告書は、政治資金規正法により、総務大臣か県の選挙管理委員会に提出することが定められている。要旨は官報・県公報で公表される。報告書は公表の日から3年間、総務省か県選挙管理委員会で閲覧に供される。
2 「官報情報検索サービス」を検索。「政治資金 報告書」のキーワードで検索し、官報平成18年9月8日付号外に定期公表分の要旨が掲載されていることを確認。

3 県選挙管理委員会に提出された報告書要旨の掲載もについても官報と同時期と推定し、岐阜県公報を直接確認。平成18年9月20日号外に掲載されている。

4 総務大臣に提出された報告書については、ウェブサイトからも閲覧できる(政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書 http://www.seijishikin.soumu.go.jp/ 2007年3月確認)。
 「ぎふポータル」(岐阜県公式ウェブサイト)内・岐阜県選挙管理委員会のページでは政治団体収支報告書の概要が掲載されている(http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s14301/seijidantai/index.htm 2007年3月確認)。

<備考>
官報情報検索サービスで、キーワードを「政治資金収支報告書」とすると該当しない。官報の本文は「政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第十二条第一項の規定による政治団体の収支に関する報告書」となっている。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000034191

政治資金規正法の条文を読めばどのように公表されるかわかりますので,その通りにすればよいのですが,問題は,「政治資金収支報告書」という言葉から,「政治資金規正法」を調べるというところがスムースに行くかということです。レファレンス・ライブラリアンとしては,基本的な政治・行政関係の調べ物として覚えておいて欲しい所です。といっても,ネットで検索すればすぐに政治資金規正法を参照してみようかと思うでしょうから,それほど神経質になる必要は無いかもしれませんが,でも,やはりこの辺は覚えておきたいです。
具体的には20条に収支報告書の報告について規定があります。報告書の要旨は必ず公表されるものとされ,官報または都道府県公報により公表されます。インターネットでも入手可能で,事例にあるように,総務大臣に届けられたものは,総務省のサイトから入手できます。都道府県のWebサイトは,それぞれの自治体によりますが,公開している都道府県も多くなってきたのではないでしょうか。
上の原則を踏まえた上で,図書館資料として入手可能なものはどれか,ということですが,この事例にあるように,都道府県公報および官報を調べるのが最初にとるべき検索手法でしょう。官報の検索には,「官報情報検索サービス」が使えると便利です。図書館によっては,このデータベースを契約しているところもあります。官報の記事検索にはこのデータベースが使えるのと使えないのとでは,圧倒的に効率が違います。都道府県公報は全文電子化されてデータベースとなっているものがない(と思いますが,あるんでしょうか? PDFで公開されているところは多いので,探そうと思えば探せますが)ので,総目次やこの事例のように,日付などのあたりをつけて,探していくことで記事を見つけ出します。
闇雲に公報をめくっていっても作業量が膨大なので,日付などの情報をほかの手段で探し出す必要がありますが,この事例以外に,どのようにして日付のあたりをつけることができるか,考えてみるのも勉強になると思います。例えば,新聞記事のデータベースで(一般紙であれば何新聞でも)収支報告書を話題にしている記事を探すと,その記事の中に公表日が書かれていそうだな,という手段が考えられます。縮刷版でもいいでしょう。政治行政関係の用語事典にも報告書の公表時期が書かれているかもしれません。いずれ,どのような方法でも構いませんが,なるべくたくさんの方法から,もっともスマートなものを選択できるといいですね。そのためにも,自館の資料をよく知っておく必要があります。
この事例の備考には,ちょっとした検索時のコツが書かれています。こういう情報はありがたいですね。官報情報検索サービスで,キーワードを「政治資金収支報告書」とすると確かにヒットしません。こういう場合は,キーワードの分割をして,再度検索しますが,普段よく耳にする用語がそのまま正式な語であるとは限らない(特に官公庁関係の手続きなどに関する言葉)ので,さまざまなキーワードを試してみるのを忘れずに行いましょう。
今回紹介した事例は,なかなかきれいにまとまっており,政治資金収支報告書に関する調べ方マニュアルとしても通用しそうですね。