参議院の最初の半数改選の議員は,どのように決められたのか知りたい。

参議院選挙が終了したことを受けて,あれやこれやと様々な論評やら考察やらがなされておりますが,その辺には一切触れず,参院にに関するレファレンス事例を一つご紹介。
レファレンスのプロセス云々というよりも,むしろ,なるほど〜と思わされる事例です。
回答を引用します。

下記の文献に情報があった。
参議院の研究』 東大法・第5期蒲島郁夫ゼミ編 第1巻: 選挙編 木鐸社 , 2004
p.48
第1回選挙 (1947年4月20日) 総括 
「今回の選挙は第1回目ということで,250名全員,つまり開票の結果3年後に改選される議員と,6年後に改選される議員の両方を選出することとなった。
 地方区選挙では,いわゆる選挙区の改選議席定数の2倍の候補を当選とし,定数内の候補を任期6年,その他を任期3年とする。全国区選挙では,得票数が1位から50位の候補を任期6年,51位から100位までの候補を任期3年とした。なお,得票数が同数の場合は,くじ引きにて決定されることとなった。」

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000036265

回答プロセスには「参議院,国会,選挙に関する文献を調査した。」をありますから,特段レファレンスツールを駆使して調べたという類ではなく,単純な目録検索と,書架ブラウジングであたりをつけたものと思われます。
参議院議員は6年の任期で,3年ごとに半数ずつ改選される,というのは大概の人が知っていることでしょう。数年前にnachumeがアルバイトで塾の講師をしていた頃,中学入試で「参議院議員選挙が2001年に行われた。次回の参議院議員選挙は何年に行われるか?」という問題があって,なかなか面白いなと思ったことがあります。慌てん坊の受験生は6年後の「2007年」と答えてしまうのです。自分が教えていた受験生に過去問練習としてこの問題を聞いたところ,この解答をしてがっかりしたことがあります。
でも,この受験生はセンスがあったのです。「先生。じゃぁ,最初の人は3年なの? 不公平じゃん」と。……いわれてみれば確かに。その時のnachumeはもちろん答えられませんでした。この事例を見つけたときに,そういうやりとりがあったことを思い出しました。図書館で調べればよかったなぁ,と(ただ,この資料はその当時は出版されていませんでしたが……)。「そんなの受験に関係ない」とか言ってごまかしてしまいました。
この事例は,いわゆるクイックレファレンスの類といえるかもしれませんが,こうやって記録しておくことは非常に重要です。クイックレファレンスは,繰り返し聞かれる質問でもあります。そして,慣れたライブラリアンだと,利用者からの問い合わせに,すぐに反応できるものでもあります。
こういう事例がもっともっとレファレンス協同データベースに登録されるとありがたいですね。それは一般の利用者のためにもなりますし,レファレンス担当者のレベルを短期間で上げるためのよい教材にもなります。
そして,この回答のように,「○○という本の△△ページにあります」とだけ書くより,質問に対する回答として一部を引用しておくのも非常に丁寧な回答の仕方でいいですね。付与されたキーワードも必要十分です。このような一問一答系(というのでしょうか)のレファレンス事例にはぜひ様々な角度からアクセスすることを想定したキーワードが付与されていることが望ましいと思いますが,きちんと考えられていると思います。すばらしいですね!