秋田竿燈祭りに関するアカデミックな論文を探している。

東北地方は8月上旬に夏祭りのシーズンを迎えます。今回紹介する事例は,秋田県の竿燈に関するものです。秋田県立図書館提供の事例です。
回答からみていきます。

1『竿灯の本』堀田正治/著 秋田文化出版 1995(「竿灯のはなし」(昭和54年刊)の改題改訂)(請求記号386/ホカ/郷 資料番号 124147265)
2『秋田県立秋田図書館所蔵郷土関係主題別文献目録』秋田県立秋田図書館/編 秋田県立秋田図書館 1985(請求記号029/アア/郷地域 資料番号110701331)
3『秋田民俗語彙事典』稲雄次/編著 無明舎出版 1990(請求記号R382.1/イア/郷 資料番号 124000290)
4『秋田の竿灯 国指定重要無形民俗文化財記録』秋田市教育委員会/編 1983(請求記号386.1/アア 資料番号 111349908)
5『秋田の竿灯 七夕祭り・眠り流し 行事調査報告書』秋田市民俗芸能伝承館/編 秋田市民俗芸能伝承館,2003(請求記号386/アア/郷 資料番号128888229)
と当館HP内にある「郷土関係雑誌記事索引」を紹介。

(引用時に整形した)

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000034468

レファレンスとしてはオーソドックスな地域郷土に関するものと言えるでしょう。
秋田県以外の図書館が受けたとしても,「竿燈」から「秋田」という連想を働かせればある程度文献の紹介は可能なはずです。
ただ,このレファレンスで注意しないといけないのは「アカデミックな論文」という点です。何をもって「アカデミックな」と判断するのかは非常に微妙な問題ですので,レファレンスインタビューで質問者の求めている情報の範囲を確定させていく必要があります。質問者区分をみると一般利用者ですから,その辺は資料提供時にある程度補完できるのですが,県立図書館の性格上協力レファレンスに回答する場合もあるかと思います。その際は,なるべく利用者が自分で「アカデミックな」範囲を絞れるような資料の提供の仕方が必要です。
提供された資料をみると,ポイントを突いた資料の提供をしていることがわかります。
秋田の竿燈は重要無形民俗文化財の指定を受けていますので,その調査報告書である『秋田の竿灯 国指定重要無形民俗文化財記録』をきちんと提供しているところは抜かりありません。
秋田県立秋田図書館所蔵郷土関係主題別文献目録』と「郷土関係雑誌記事索引」がポイントです。いずれも秋田県立図書館作成のレファレンスツールです。アカデミックかどうかは質問者が最終的な判断を下すのですから,図書館としてはなるべく広く主題に関する資料を提供することが求められます。質問者の判断が可能な資料提供という点でも評価できると思います。
さて,すこし県立図書館と地域郷土資料について補足してみましょう。県立図書館の機能上,当該地域に関する書誌を作成するのは基本的業務の一つと言えます。このような資料を積極的にレファレンスの回答に活用するのはいいですね。
この事例で提供されている「郷土関係記事索引」はインターネット環境さえあればどこからでも利用可能です。また秋田県立図書館は,秋田県内のお祭りというコンテンツも提供しています。
このようなさまざまな地域郷土資料へのアクセス手段を用意することは,図書館の非常に重要な役割です。地域の情報を体系化し,みんなが使えるようなアクセス手段を用意するといったことをきちんと図書館が整備していくと,地域情報へのアクセスが図書館を通じてできるようになるのです。そんな地域情報のデータベースが集まったら,日本全体の地域情報を図書館を通じて得られるようになるのです。レファレンス協同データベースはそういう機能も担っています。図書館のもつ底力はすごいですよね。