サンタクロースの橇を引いているトナカイの名前は何というか。

クリスマスですね。今年は連休も重なったこともあって,街は随分にぎわったようです。祝日も開館する図書館に勤めているnachumeはずっと出勤してました。仕事を終えて,少し遅い時間,買い物ついでに,イルミネーションを見ながらクリスマス気分を堪能しました。きれいだなー……としみじみしました。
レファ協で「クリスマス」をキーワードに検索すると,たくさん事例がヒットします。読書相談の記録もいくつかありますので,ちょっとした読書案内リストとしても利用可能です。こういう情報が得られるのも,レファ協のいいところですね。
今回紹介するのは,トナカイの名前についてです。nachumeはこの事例を読むまで,名前がついていることは知りませんでした。
回答と回答プロセス,参考資料を引用します。

<回答>
Dasher(ダッシャー)・Dancer(ダンサー)・Prancer(プランサー)・Vixen(ビクスン/ヴィクセン)・Comet(コメット)・ Cupid(キューピッド)・Donder(ダンダー/ドンダー)・Blitzen(ブリッツェン/ブリツェン)の8頭。

<回答プロセス>
『サンタクロース学入門』及び『クリスマス小辞典』によると、「近代サンタクロース像を造ったのは、クレメント・ムーアの詩『クリスマスのまえのばん』であり、8頭のトナカイに橇を引かせることを定着させ、また、8頭のトナカイに名前を付けた。」旨の記述があったため、クレメント・ムーアの詩『クリスマスのまえのばん』を探すことに。

<参考資料>
クリスマスのまえのばん クレメント・ムーア文 福音館書店 P/デウ 020165536
クリスマス物語集 中村妙子編訳 偕成社 90/ク3 020011235(p140-147に詩が掲載。)
クリスマス小事典 遠藤紀勝他著 社会思想社 385.8/E3 301758637(p140に解説文あり。)
サンタクロ−ス学入門 荻原雄一著 高文堂出版社 387/O2 303811558(p79-81に解説文あり。)

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000012300

回答は回答としてトナカイ8頭の名前を列挙しているので,注目すべきは回答プロセスです。
この種のレファレンスは,一般に事実調査といわれるもので,各種百科事典や専門分野の事典類を丹念に引いていくことにより,資料を紹介するのが通常です。最初にどんな事典を手にするか,がポイントです。クリスマスとトナカイに関係する事柄を調べているので,クリスマスに関係する事典を手にするというのはとても素直な選択です。この事典に辿り着くのは,目録を引くなり,書架をブラウジングするなりすれば,さほど難しくないと思います。
あとは,芋づる式に記述を追いかけていくと,資料に辿り着くことができるでしょう。
この事例の参考資料には,どの資料に何が書かれているか,を簡潔に記してあるところがほめポイントです。事典には解説文があって,その解説文をもとに,資料にあたり,さらに,クレメント・ムーアの詩がどの資料に所収されているか,がわかるように記述されています。こういう書き方は,レファレンスの回答としても丁寧ですし,レファレンス事例という点から見ても,非常に良いと思います。
この事例でわかるように,クリスマスに関係する事だけを収録した事典もあるのです。こういう事典は図書館のレファレンスコーナーを歩いてみると見つけることができます。意外な事典を発見するのも楽しいですよ。