男爵で「野」ではじまる姓を知りたい。

明治以降の近代日本では華族制度がありました。日本では現行法上,制度としてはありません。そうは言っても,爵位をもった人について調べたい時はどうしましょう,というのがこの事例でわかります。
早速回答を引用します。

当館所蔵の『日本の名家・名門人物系譜総覧』(新人物往来社 2003年刊) p390〜430が男爵で、野崎家、野田家、野村家が該当。
他に『皇族・華族古写真帖』(新人物往来社 2003年刊)の巻末に「華族一000家全一覧」があり、同じ内容だった。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000030751

淀みない回答ですばらしいですね。この質問は「野」で始まる爵家を探しているというものですが,なにも「野」ではじまらなくてもいいわけで,他の調べものにも十分応用可能です。
人物調査では,人名辞典を使うというのが定石ですが,この場合「姓を知りたい」ということですので,姓氏事典の類を紹介したいもの。そういう意味で,この参考資料の選択は妙手と言えるでしょう。『日本の名家・名門人物系譜総覧』は便利な事典です。読み物としてぱらぱらめくっているのもなかなか面白いと思います。
事例としては,質問と回答以外は空白なのが勿体ないと思います。せっかくこんなにすばらしい事例なので,せめてNDCをふって,ブラウジングできるようになるとなおいいと思います。NDCを付与するとしたら,288(系譜)あたりでしょうか。また,「野」がつく姓について,見つけた資料の該当ページだけではなく,みつけた3つの家を回答に列記しているのもいいですね。

近代の人物調査のとっかかりとしてこの資料を使うのも悪くないと思います。この資料をこの手のレファレンスですぐに頭に浮かべられるといいですよね。
すこしこの参考資料について,補足しておくと,この本は「別冊歴史読本」というシリーズの一つです。図書館によっては,雑誌として整理している場合があります。もし,図書のタイトルを「日本の名家・名門人物系譜総覧」というキーワードで見つけられない場合は,雑誌を対象に,「別冊歴史読本」というキーワードで探してみると見つかるかもしれません。