チェック柄を調べる事の出来る資料(各チェック柄には名称、柄の写真、布が貼付してあり、各チェック柄名からの索引もある)を探している。かって図書館で見たことがあるが図書館名は不明。
前回に続いてチェック柄についてのレファレンスです。nachumeはチェック柄の名称って聞かれてもパッと思いつかないです。前回のタータン以外にも，ギンガムチェックや，マドラスチェックなんていうのは何とか思いつきますが……。そういえば，市松模様もチェック柄と言えばチェック柄ですよね。
というわけで，まずは，回答等を引用します。
＜回答＞
『日本代表織物集』(全国繊維工学技術協会 1962)『綿糸布の基礎知識』(極東商事 1951)『東洋レーヨン製品事典』(東洋レーヨン 1957)を提供する。＜回答プロセス＞
当館書架NDC分類〈586〉(繊維工学)及び〈727〉(グラフィックデザイン)より調査し、『日本代表織物集』『綿糸布の基礎知識』『東洋レーヨン製品事典』を提供する。＜事前調査事項＞
「服装大百科事典」(文化出版局 1990)「服飾事典」(同文書院 1981)なし。「文様の事典」等にチェック柄の記載が多少はあるが索引はない。以上依頼館で調査済み。＜参考資料＞
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000019329
『日本代表織物集』(全国繊維工学技術協会 1962)
『綿糸布の基礎知識』(極東商事 1951)
『東洋レーヨン製品事典』(東洋レーヨン 1957)
事例提供館は，前回と同じ埼玉県立図書館です。今回のレファレンスは，質問者が図書館ということで，協力レファレンスです。協力レファレンスは，前にも説明したことがありましたが，ある事柄を調べるために必要な資料を所蔵している図書館へ，図書館がレファレンスを依頼する形式のレファレンスです。市町村の図書館であれば，中央館や地域の都道府県立図書館へ照会することが多いです。学術的，専門的な資料であれば，大学図書館や専門図書館へ，協力レファレンスを依頼することもあります。どんな小さな図書館でも，この協力レファレンスを行っていますので，ぜひ利用してみてください。
少し話がずれますが，協力レファレンスを依頼するときに必要なのは，「何をどこまで調べたのか」をきちんと依頼先の図書館へ伝えることです。これがきちんとなされていないと，依頼を受けた館が困ることがあります。その点，この事例を読む限り，依頼元の図書館では，調べられる範囲で調べて，実際に調査した資料も提示しているのはいいですね。
レファレンスの回答へ戻りますと，回答プロセスとしては，書架ブラウジングが中心となって，資料提供に至っています。
「チェック柄」からどの分類にあたるか，という点がポイントになるのですが，大きく二つここでは考えています。まず，布・生地に目を向けて，分類はNDCで5類の繊維工学，次に，柄に目を向けると，デザインということで7類のグラフィックデザインを選択しています。このチョイスは絶妙ですよね。質問文だけ見ると，生地にばかり目を奪われる可能性がありますが，チェック柄は何も生地のみに適用されるではありません。デザインという視点を持って調べたということはとてもすばらしいです。
そこで，選んだ資料が，上記の3点。nachumeはそのうち勤務先の図書館に所蔵があった『東洋レーヨン製品事典』を手にしてみました。そしたら，これがまた面白い資料で，ぜひ機会があったら，この生地を読んでいる皆さんにも手にして欲しい資料です。
その名の通り，東洋レーヨン*1の製品事典です。東レの規格の解説や繊維関係の用語集が掲載されていたり，織物の実際の名称と見本が貼り込まれています。なので，実際に生地の状態を手で触ることができます。その部分は，ちょっとしたスワッチ*2みたいな作りです。古書店はともかく，普通の本屋さんでは売られていませんので，実際に手にすることができるのは図書館が一番確実かと思います。目次に生地の名称があります。チェック柄かどうかは見てみないとわからないのですが，それでもなかなか見ていて飽きません。
この記事には，引用していませんが，前回と同じく，分類に，「020（図書．書誌学）」が付与されており，重要な参考資料であることがわかります。
nachumeとしては，この事例に，東レの製品事典に出会えたことが，なにより感謝したいところです。50年も前の本であっても，なかなか面白いですよ。ちなみに，判型を変え，収録サンプルも大幅に増えた1961年版もあります。レファレンス協同データベースで，本と出会うというのもなかなかいいものです！
