フィンランドの自殺予防対策について知りたい。

フィンランドといえば福祉国家という文脈で語られることが多いのですが,今回取り上げる事例は,そのフィンランドの自殺予防対策についてです。
まずは,回答を引用します。

Google、CiNii で下記が見つかった。
[110006604096]山田,眞知子
フィンランドの自殺予防対策 : 国と自治体の連携の試み
北方圏生活福祉研究所年報 12,39-46,20060000(ISSN 1342761X) (浅井学園大学北方圏学術情報センター北方圏生活福祉研究所 編/浅井学園大学北方圏学術情報センター北方圏生活福祉研究所/浅井学園大学)
■収録データベース :NDL NII-ELS 
無料一般公開 
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006604096/ (2008/04/18確認) 

http://www.hokusho-u.ac.jp/porto/rsc/2005-2006paper/2006/39-46Finland_jisatsuyobou.pdf (2008/04/18確認)

提供文献が日本語のものということは,おそらくは日本語のものを求められたのだと思います。
今回の回答では,タイトルもズバリ「フィンランドの自殺予防対策」というもので,求められた資料に合致するものという判断が容易にできます。しかも,ネットで一般に公開されている文献ですので,非常にアクセスも簡単です。
いくつかポイントとなるところを見ていきましょう。googleで検索するのというのは基本的なとっかかりとして有効な手段です。最近のgoogleは検索時に翻訳までアシストしてくれます。調査のためのキーワードがうまく見つからないときは,とりあえずgoogleで検索してみるとヒントが得られるかもしれません*1
CiNiiは国立情報学研究所の提供する文献データベースで,論文によっては本文まで入手できるものもあります。この事例で取り上げられている論文も本文にフルアクセス可能です。
同時に,掲載誌である『北方圏生活福祉研究所報』は,発行元の北翔大学北方生活福祉研究所のサイトでも入手可能です。最近はどの大学でも,発行する紀要などをネットで公開することが多くなっていますので,CiNiiに掲載されていなくても,一度探してみるといいかもしれません*2
この辺は,大学図書館での事例ということもあり,質問者への資料提供としては必要十分と思います。この文献の章末の参考文献一覧から,各種資料へアクセスするなどは,大学生(かどうかは質問者区分がないのでわかりませんが)なら身につけておかなければならない能力です。図書館はあくまでサポート役というところも上手くできていると思います。

事例からは少し離れて,少し自殺に関係する調べ物について,いくつか参考になりそうな点を挙げておきます。
よく耳にするように,日本では年に3万人超の方が自殺しているといわれていますが,これは自殺者数の統計を元にしています。自殺統計は警察庁が作成しています。出生や死亡について調査した統計を人口動態と言いますが,こちらは厚生労働省の統計です。調べるときには,発行者に注意が必要です。
そして,平成18年に「自殺対策基本法」が制定され,第10条には「政府は、毎年、国会に、我が国における自殺の概要及び政府が講じた自殺対策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならない。」と定められており,この報告書が「自殺対策白書」としてまとめられています。所管は内閣府です。『自殺対策白書』は,昨年(平成19年)11月に初めて公表されました*3
書架をブラウジングする場合は,主題をどう捉えるか,ということがポイントになります。とするとNDCでいうと「368.3 自殺. 自殺防止」が最初に見るべき棚でしょうか。若年層の自殺という点では教育関係の「371」を展開していった「371.42 子供の自殺」なども参考になるかもしれません。また,直接自殺を取り扱っているわけではありませんが,「498.8 労働衛生」や「493.7 神経科学」なども関連主題として見てみるとなにか見つかるかもしれません。
また,英文のキーワードとして「自殺」は「suicide」,自殺予防は「suicide prevention」*4といいます。英語のキーワードが欲しい場合に,論文の抄録を参考にする,論文の英文タイトルを参考にする,などの方法があります。今回紹介した事例では,英文タイトルと英文抄録,キーワードが併記されていますので,こういう情報をとっかかりして進めていくという手もあるでしょう。

個人的な話になりますが,nachumeにも自殺した友人がいます。自殺者数が高い水準にあるというのは,好ましいことではないと思います。自殺対策基本法の第1条は「国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与すること」を目的としています。少しでも,この目的が果たせられることを願っています。

*1:それがキーワードとして正しいという保証は全くありませんが……。

*2:もちろん,ネットで公開されていなければ,所蔵している機関に複写をお願いするなどの入手方法を質問者に案内したほうが良いです。

*3:インターネットで全文を読むことができます→http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/index-w.html

*4:あるいは「prevention of suicide」とも。