男前豆腐の売り上げ推移、また売り上げが伸びた理由について調べたい

いつだったか覚えていませんが,最初に「男前豆腐」という名前を聞いた時は随分インパクトがあるなぁと,ネーミングセンスに感心しました。
まさかレファ協男前豆腐に関する事例に出会うとは思わなかったのですが,案外なんでも適当な単語を入れてみるものですね*1
回答とプロセスを引用します。

<回答>
日経テレコン21】で、「男前豆腐」と入力して検索。2006年6月19日の日経流通新聞に売り上げ推移のグラフ(2005年11月〜2006年5月まで)あり。このグラフによると、2006年3、4、5月で急激に売り上げが伸びていることが分かる。また、この記事の中で、ブランド戦略などについての社長のインタビューも掲載されていた。
Google】で「男前豆腐」と入力して検索し、発売元の「男前豆腐店」のホームページ(参照URL:http: //otokomae.jp/)を参照してみるが、売り上げなどについての記載は見当たらない。ただし、テレビや雑誌で紹介されたいう報告ページがあり、メディアで紹介されたことが売り上げに繋がったと推測できる。また、複数の個人ブログからもテレビなどのメディアで、男前豆腐が紹介されていたことが分かった。

<回答プロセス>
Google】で「男前豆腐」というキーワードで検索し、男前豆腐の発売元の「男前豆腐店」ホームページや個人ブログなどから、その企業(または製品)を紹介したテレビ番組や雑誌の情報を得た。
また、新聞データベース【日経テレコン21】で、男前豆腐店の売り上げ推移、また売り上げが伸びた理由に繋がりそうな社長のインタビュー記事がヒットした。
(引用注:回答中の「1006年」は「2006年」の誤りと思います2008/6/7現在修正されています)

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000040926

あくまでも図書館で受け付けるレファレンスですから,調査するという観点で質問内容を整理しなくてはなりません。カウンターでのやりとりだと,案外「男前豆腐」というネーミングに負けて調査の主題を計り損ねることがありますので。
「売上の推移や売上の伸びた理由」というあたりから,レファレンスとしては,「統計をさがす」とか「会社情報調べる」という発想が必要です。そして,「売上が伸びた理由」というのは資料提供をもって回答とするのは難しいのでレファレンスの回答にはなじまないものと言えます。レファレンスの回答としては,質問者に対して,売上が伸びたと考えるに足りる資料を提示するところまででしょう。このあたりは事例の備考にも書かれています。

<備考>
男前豆腐の売り上げが伸びた理由については、学生自身で考えるものであると判断したので、情報の媒体のみを案内した。

という前提条件を整理した上で,レファレンスを進めていきます。
プロセスを見ると,最初にネットで販売元のサイトを探し,各種データがないか確認しています。昨今の状況では,特定の会社について調べようと思ったときに,とりあえずインターネットで検索してみるというのは定石といってもいいでしょう。公式サイトに売上データがあれば,売上の推移についてはすぐにわかったのでしょうが,そうもいかなかったようです。
それならば,次の手を考えます。この事例では「日経テレコン21*2を使用して,新聞記事にあたっています。すると,社長のインタビューと売上の推移が載っている記事が見つかっています。
この調査戦略は上手いです。ネットの次に何を調べるか,というのがいくつか考えられるといいですね。ネットで検索しているときに,個人のブログや,テレビや雑誌で取り上げられていることがわかっていますので,雑誌記事索引にあたってみるというのも一つの手段と思います。事例にはありませんが,きっとNDL-OPAC雑誌記事索引やMAGAZINE PLUSなどのデータベースも調査していると考えられます。
今回の事例では,うまく記事を見つけることができましたが,普通は,ある特定の商品の売り上げというのは,刊行資料からは見つけることは難しいです。どうしてもわからない時には,直接会社に連絡を取ってみるというのも一つの手段です。質問者も,図書館に聞いてもわからなかったら,直接聞いてみるということを手段の一つとして考えてみるのも必要でしょう。図書館側も「わかりませんでした」で終わらせることなく,会社の連絡先を案内するなどのフォローは絶対に必要です。
この事例は書き方が丁寧ですし,調査のプロセスも上手いなぁと思います。事例提供館は嘉悦大学です。そして,こういう図書館はいいなぁ,と思う一文が備考欄にありました。

また、レファレンスを受けた後に、『風に吹かれて豆腐屋ジョニー:実録男前豆腐店ストーリー』(伊藤信吾著、講談社、2006.7)という図書を受入れたので、こちらも質問者に紹介した。

男前豆腐店の本を受け入れて(このレファレンスを受けたから受け入れたわけではないのかもしれませんが),質問者へ連絡を取っています。こういうフォローはすごく利用者を大事にしているのがわかります。こういう図書館のカウンターがいいですよね。
嘉悦大学作成の事例登録数はずば抜けて多いわけではありませんが,どの事例も丁寧に作られていてすばらしいですよ。おすすめです。

*1:ちなみに「男前」でレファ協を検索すると2件ヒットします(2008年5月19日現在。あんまり「男前」そのものとは関係ないような……)

*2:日経テレコンは古くからある商用データベースで,さまざまな新聞や雑誌などを検索できます。本文も入手できるものもあり便利なデータベースです。公共図書館でも契約しているところがありますし,もし使えるのなら,調べ物をするときに是非使って欲しいです。