漱石と落語の関係について調べたい。

nachumeは夏目漱石の作品が好きです(唐突に)。
たまに読みかえすことがあります。大分前に買った文庫本が今はもうボロボロです(電車の中で読んだり,旅行先に持って行ったりと扱いが酷いからなんですが)。
夏目漱石はおよそ100年前に活躍していたわけですが,ちょうど100年前には「夢十夜」という作品を新聞連載していました。「夢十夜」の第一夜は百年待つ男の話です。100年という時間は長いのか短いのか,考え出すと壮大なテーマだなぁと秋の夜長に一人哲学談義にふけるのが楽しいです(本人はいたって真面目です……)。
閑話休題夏目漱石と落語の関係について知っている人はかなりいるのではないかと思います。上述の「夢十夜」と同年に連載された「三四郎」の中でも柳家小さんについて登場人物が言及している箇所があります。
レファレンスとして,こういう質問に回答するときは,たとえ上記のような知識があったとしても,それをそのまま記憶を典拠として資料提供するのは避けるべきです。もちろん,こういう知識は調査の過程で大いに役立つものですから,積極的に利用すべきと思いますが,あくまでも,レファレンスライブラリアンの行為は,再検証可能な科学的行為であって欲しいと思います。
ということは,漱石と落語の関係に関する資料をどのようにして探すか,という思考を展開させなくてはなりません。
回答と回答プロセス(事前調査事項となっていますが,多分回答プロセスのことだと思います)を引用します。

<回答>
下記の図書、論文などが見つかった。
漱石と落語 水川隆夫著 増補 平凡社, 2000 (平凡社ライブラリー ; 342) 

CiNii で下記がヒットした。 
1. [40015993041]水川,隆夫
漱石と落語--「二百十日」を中心に (特集 落語を愉しむ)
國文學 : 解釈と教材の研究 53(8) (通号 768),64〜71,2008/6(ISSN 04523016) (學燈社 〔編〕/學燈社)
(略)

国文学論文目録データベースで下記がヒットした。 
No1
項目 内容
論文題名 漱石の落語
論文執筆者 恩田雅和 おんだまさかず
掲載誌名 阪大近代文学研究 
通巻 5
ページ数 11  1 〜 11
発表年 2007 /03 /25
館内請求記号 ハ00158
(略)

<回答プロセス>
Webcat Plus(一致検索)で、キーワード 漱石 落語 で検索した。
CiNii で論文を検索した。
国文学論文目録データベースでも検索した。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000046375

全部は引用しませんでしたが,回答に検索結果を載せていますので,具体的な文献については,大元のレコードを参照してもらうとして,回答文から調査に大きく3つのデータベースを利用していることが分かります。一つは図書情報を探すWebcat Plus,二つめは論文情報を探すCiNii,三つめが,国文学に関する論文記事索引である国文学論文目録データベースです。
前二つのデータベースはよく利用されるし,当サイトでもなんどか言及したことがあります。今回は,国文学論文目録データベースについて簡単に紹介してみます。

このデータベースは日本文学研究論文を対象としたものです。収録対象は,大正元年からと広く,また翻刻や複製情報も得られるため,思わぬ発見をすることがあります。日本文学研究に関する調べ物の時は,一度引いてみる価値があると思います。
何かを調べるときに,調べる対象の分野が絞れているなら,専門分野の事典類を探すというのはレファレンスの進め方の定石です。効率よく文献情報を得るための手段として,覚えておくと良いですよ。今回は「国文学論文目録データベース」を取り上げたくて,このレファレンス事例を紹介しました。
漱石と落語について,調べるのであれば,回答にもありますが,『漱石と落語』を一読するのが早いかと思います。参考文献をこの本からたどっていくことも,調査を進める上で,大事なポイントになるはずです。


久々に,このサイトの更新をしますが,皆さんお元気でしたか?
季節の変わり目です。体調には十分お気をつけください。nachumeはこのところ風邪気味です。。。