第3回argカフェ&argフェスト(2009/2/21)に参加したよ

レファレンス協同データベース事業フォーラムの次の日,ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG)主宰のargカフェ&argフェストに参加してきました。

5分間のライトニングトークを中心に展開されるargカフェは何か考えるヒントがいっぱいなのです。今回ライトニングトークを行った12人の方々から発せられる5分間のトークからもやはりものを考える為のヒントが沢山あったように思います。5分間のパフォーマンスもパワーポイントを使ったものから,スケッチブックトークまで幅広いもので,これも楽しかったです(というかスケッチブックトークの一人勝ちです)。
メモ程度ですが,いくつか考えた点を列記していこうと思います。「〜〜のお話し」が簡単な内容紹介で,それ以外はnachumeの考えたことです(読めば分かりますが念のため)。

  • 當山日出夫(立命館大学GCOE(DH-JAC))「学生にWikipediaを教える−知の流動性と安定性」
    • Wikipediaの履歴を参照し,情報の完全性や安定性について考える課題を課しているというお話。「情報の安定性」というのはインターネット上の電子テクストに顕著に表れる問題と捉えテクストの利用はそういう性質を踏まえて行われるべきと思っています。
  • 小橋昭彦(今日の雑学/NPO法人情報社会生活研究所)「情報社会の“知恵”について」
    • 「今日の雑学」というメールマガジンのお話し。「知恵」はどのように伝承されていけばいいのか,「知識」とか「知」というのとは若干違うニュアンスで語る文脈が欲しいのだなぁと思いました。
  • 小篠景子(国立国会図書館) 「「中の人」の語るレファレンス協同データベース」
    • レファ協は情報の持ち寄りパーティ」であるが,全参加館の数パーセントの提供館が事例全体の約6割を占めている現実のお話し。スケッチブックトーク。個人的に,思うところは沢山あるものの,規模が大きくなれば,こういう状況も致し方ないと割り切るべきなのか,それとも抗うべきなのか,答えは出ません。
  • 三浦麻子(神戸学院大学) 「社会心理学者として、ブロガーとして」
    • ブロガーとしての立ち位置と社会心理学者としての立ち位置を明確にしているということと,心理学関係学会誌のオンライン公開のお話し。複数の立ち位置で,バランスをうまくとれているんだなぁと感心しています。
  • 谷合佳代子(大阪産業労働資料館 エル・ライブラリー)「エル・ライブラリー開館4ヶ月−新しい図書管理システムとブログによる資料紹介」
    • 橋下府政の元で補助金全廃,エル・ライブラリーとして運営をはじめたお話し。ネットを利用して資料紹介をしようちう試みは応援したいと思いました。
  • 村上浩介(国立国会図書館)「テレビからネットへ」
    • 猫のデューイで,Current Awarenessが落ちたお話し(端折り過ぎか…)。妙な形でテレビの影響力をみた気がします。あと携帯電話からのアクセスも侮れないなと。
  • 後藤真花園大学)「人文「知」の蓄積と共有−歴史学・史料学の場合」
    • 情報歴史学。史料のデジタルは,単に史料をデジタル画像で残せば良いというものではなく,その史料のコンテクストをなにがしかの形で残す必要があるというお話し。資料1点ごとのコンテクストを考えながら,設計するのは相当難しそうです。
  • 福島幸宏(京都府立総合資料館)「ある公文書館職員の憂鬱」
    • 文書館の数の少なさ,コンピュータに関する関心が低いなど,憂鬱なお話し。世代交代によるリフレッシュはきっと業界を変えることに繋がると私も思います。
  • 中村聡史(京都大学)「検索ランキングをユーザの手に取り戻す」
    • 「Rerank.jp」を紹介しながら,コンピューティングに人間が介在することの重要性についてのお話し。コンピュータと人間の関係,もう少し狭めて,コンピュータ空間に体現されるテクスト(及びコンテクスト)と人間との関係を工学的に考えるってのはこういうアプローチなのか,と社会記号論をかじっていたものとしてはその手法に興味を覚えました。
  • 岡島昭浩大阪大学)「うわづら文庫がめざすもの−資料の顕在化と連関」
    • 資料は公有物であるはずなのに,実は制限されていることが多いということを踏まえ,氏の主宰する「うわづら文庫」についてのお話し。資料はデッドストックにあってはならず,資料へのアクセスをいかに確保するか,というのは我々の課題でもあります。
  • 嵯峨園子(中京大学情報科学研究科/ソシオメディア)「ライブラリアンの応用力!」
    • ご自身の経験を交えつつ,ライブラリアンのもっている力は,様々な所で応用可能な能力であるというお話し。私も全面的に同意するお話しでした。ライブラリアンの持つ発想法や思考法は絶対各所で応用が利くはずです。
  • 東島仁(京都大学大学院)「ウェブを介した研究者自身の情報発信に対する−「社会的な」しかし「明確でない」要請?」
    • ネットに見られる情報に対する研究者の態度や情報の受け手の問題についてのお話し。眉唾物の情報をどのように社会は受容するか,そして受容しないか,というサイクルを想定した場合,まさに「要請」という術語はしっくりくるなぁと思います。

こんな感じで。質疑も盛り上がりました。
そして第2部。要は飲み会です。岡本さんからは事前に,特定の人を独占しないことというルールを宣言してしていただけました。パーティで特定の人とばかり話してはいけません,なんて記述をいろんな所で目にしますが,このことはすごく大事な事ですよね。ということで,沢山の人とお話できました。Wikipediaの人やLifoの人,大学院生の方,さらにこの「ほめまくり」を読んでくださっている方もいらっしゃいました。初対面の人の方が圧倒的に多い中,お話しする機会を持てた方々に感謝です。また,個人的に前から一度お目にかかりたいと思っていた松田清先生ともお話しできたことは思わぬ幸福です。調子に乗って3次会までついて行ってしまいました。
こういう場には積極的に参加したいものです。
レファ協をほめまくるという趣旨からはずれた記事が続いていますがごめんなさい。