忌日(キニチ・キジツ)の「○○忌」から、人物について調べる方法はあるか。できれば最近の歌人・俳人について調べられるものがあるとよい。

6月19日は桜桃忌です。10年以上前になってしまいますが,一度桜桃忌に太宰治の墓のある三鷹禅林寺を訪れたことがあります。まるっきり個人的な思い出なのですが,三鷹から吉祥寺周辺のあたりをよく歩いていた時期が一時あって,あれこれ毎週末のように出かけていました。今では考えられないほどアクティブです。
いま,さらっと「桜桃忌」という言葉を使いましたが,この「桜桃忌」と「太宰治」とをさくっと結びつけられるかどうか,というのがこのレファレンスに回答する上でポイントになると考えられます。
回答と参考資料を引用します。

<回答>
参考文献に挙げたもので調べられるが、いずれも最近の人物はあまり掲載されていない。
また、歳時記に掲載されている忌日は、基本的に季語として定着しているものとのこと。

<参考資料>
『忌日行事歳時記』(世界聖典観光協会
『記念日・祝日の事典』(東京堂出版
『逆引き広辞苑』(岩波書店
『文学歳時記』(TBSブリタニカ)
『早引き俳句季語辞典』(三省堂
『新日本大歳時記』(講談社

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000032714

事例だけではどういうシチュエーションで質問があったのか分かりませんが,カウンターでのやりとり(だと思うのですが)としては十分な内容だと思います。
レファレンスに回答する場合,当然ながら,質問事項を整理する必要があります。その整理する過程において足りないと判断される事があればインタビューを通して,質問者から情報を入手して,質問を回答可能な質問にしていくプロセスが重要です。
そのプロセスを少し考えていきますと,「キニチ・キジツ」と読みを振ってくれているように,どちらかといえば物事を避けるという意味の「忌日(いみび)」よりも命日だとか七日区切りの日という意味を指すことが前提となっていることが分かります。また,「○○」に入る言葉は人物に関係した言葉を探していることが分かります。従って,「原爆忌」のような事柄に関する忌日ではないということも導き出されます。さらに,最近の歌人俳人という限定も付されています。
このあたりの整理ができたところで,実際に資料を紹介する段になりますが,「○○忌」は俳句によく用いられるものだという思考があれば,歳時記関係をあたってみようという行動がとれると思います。もし,そういう発想にすぐに至らない場合は,「忌日」という単語をOPACに入れて検索してヒットした資料の類書を探すというやり方でもいいと思います。
参考資料のほとんどはそういうプロセスを経ると得られるものです。
一つおもしろいと思ったのは『逆引き広辞苑』を提供している点です。ご存じのように「逆引き」なので,「き○○」という調べ方ができる事典です。この『逆引き広辞苑』1冊ではそこまでですが,さらに見つけた言葉を『広辞苑』をはじめ他の事典類で参照してみるのもいいと思います。
特定の「○○忌」を調べているというようりも,もうちょっと抽象度が高く,「○○忌」を全般的に調査したいということであれば,『逆引き広辞苑』のような事典類の提供は,質問者自身による調査を視野に入れた資料提供と言えましょう。この発想はすばらしいと思います。