南京玉すだれのやり方が載っている本を探している。「大道芸口上集」「大道芸大全」などの資料に解説・口上はあるが、やり方は載っていなかった。

今回は介護やら福祉やらの話題から少し離れて,「南京玉すだれ」についてのレファレンスです。nachumeは大道芸をはじめとするパフォーマンスが大好きで,ピーター・フランクル氏の大道芸を生で見られるチャンスがあったときに,大学をさぼって見に行ったことがありました。自分でも練習していた時期がありましたが,ボール3つのカスケードをちょこっとできる程度ですのでたいしたことはありません。
南京玉すだれは,大道芸とは異なりますが芸であることは間違いなく,最近では寄席の出し物やイベントで見ることが多いです。かけ声が独特ですよね。
回答と回答プロセス,そして備考を引用します。

<回答>
日本奇術協会に問合わせたところ南京玉すだれのビデオを個人に販売しているが図書館への販売はしていないとのことだった。

<回答プロセス>
〈779〉〈798〉の大道芸、かくし芸等の資料になし。
インターネットに南京玉すだれのホームページがあり、唄と踊り(写真)が載っている。
『読売新聞 1999.9.19(5)』に南京玉すだれの通信講座の案内あり。
大宅壮一文庫雑誌記事索引』の〈奇術〉の項にあり。
日本奇術協会に問合わせたところ南京玉すだれのビデオを個人に販売しているが図書館への販売はしていないとのことだった。

<備考>
近畿大学中央図書館よりコメントをいただく(2007/03/26)。以下、提供情報の本文。

本日、当館でも同様のレファレンスがあり、再度調査いたしました。
ビデオですが、下記のものがありました。
「簡単・南京玉すだれ:誰でもできる!!」 橘洋子監修, 指導 ハイリッチ 2002
埼玉県内では、さいたま市川口市川越市和光市、小川町の図書館に所蔵されているようです。
また、兵庫県立図書館の関連事例があります。(兵図−0009)
ご確認くださいますよう、お願い申し上げます。

http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000033222

事例作成館では適切と思われる資料が探せませんでした。資料が無いときに単に「ありません」というのではなく,どの辺の資料を探して,なかったということが大事です。ここでは,大道芸などの主題が分類される779や798付近の書架を探しています。南京玉すだれからNDCの分類記号がパッと頭に浮かぶ人は相当ですね。でも,なんとなく芸能関係だろうと7類を探っていくと辿り着くことでしょう。ただ,南京玉すだれだけを主題として扱った資料があるかどうか,という点には留意しておくべきで,芸能事をまとめた資料の中にあるかもしれない,と少し広く資料にあたる必要があると思います。
図書で見つからなければ,雑誌や新聞も探そうということで,新聞記事や雑誌記事索引を引いています。
そして,日本奇術協会という業界団体にも問い合わせています。
このあたりのプロセスは,どれも重要で,よほどの事情がなければ,蔵書の規模の大小にかかわらず,きちんと行いたいものばかりです。
日本奇術協会への問い合わせた結果,ビデオがあることはわかりましたが,図書館へは販売しないということです。こういうケースだと残念ですね。
レファレンスということで考えると,十分に回答のプロセスを踏んでいると思います。
レファ協のすばらしいところは,さらに,こういう事例がブラッシュアップすることです。コメントを寄せたのは近畿大学中央図書館です*1南京玉すだれのレファレンスがほかにもあることや,他館のレファ協の事例(この兵図-0009は参加館にしか公開されない事例ですが)の紹介,そして,入手可能なビデオの紹介というありがたい情報が寄せられています。
こういうコメントはありがたいですね。
nachumeの個人的感想ですが,レファ協の事例がレファレンスに活用できつつあるな,と思うようになりました。これはやはりレファレンス事例のレコード数が相当数蓄積されたことによると思います。一般公開前は,参考程度にしかならなかったレファレンス協同データベースですが,1万件を超えたあたりからレファレンス協同データベースのもつ力が感じられるようになったように思います。様々な使い方を実践する図書館があらわれ,そういう事例が参加館フォーラムなどで紹介されることが多くなり,それがさらにレファレンス協同データベースの利用を促していると思います。さらに,近畿大学中央図書館のように積極的にコメント機能を活用する(ほかにもコメント機能を積極的に利用している図書館はあります)とまた違った面が見えてきてなかなか面白いです。
少なくとも南京玉すだれを調べる人は複数人いることがわかりました。nachumeの大道芸やパフォーマンス,寄席好きは明らかに父の影響なのですが,やはり実家に南京玉すだれがあるのです。簡単な説明書が一緒についていました。でも,いろんな技を試してみたいですよね。個人的に,このビデオは見てみたい資料です。

*1:この近畿大学中央図書館はレファ協をレファレンスに,研修にとかなり使い込んでいる図書館です。今年(2007)2月に行われた参加館フォーラムで近畿大学の事例発表がありましたので,いずれ公表されるであろう記録でその詳細を見ることができると思います。今のところフォーラムでの配付資料は入手できます。